「パープルファッション」編集長オリヴィエ・ザームが語る、“マガジン”という人生

2012.12.05

パリ発のファッションマガジン『パープルファッション』の20周年を記念した写真展「NOCTURNAL DREAM」が2012年12月16日(日)まで、東京白金の「THE LAST GALLERY」で開催されている。

パープルと黒でペイントされたギャラリー内には、パープルにゆかりのあるフォトグラファーたち、森山大道、Hiromix、新津保建秀、ホンマタカシ、アンダース・エドストローム(Anders Edström)、鈴木親佐内正史、鈴木理太郎、平川典俊、そして、『パープルファッション』編集長のオリヴィエ・ザーム(Olivier Zahm)の作品が展示されている。

オリヴィエのコーナーの右に、アンダース・エドストロームによる日人男性の写真が飾られている。そこには「RIP(=REST IN PEACE)」の文字。彼は、オリヴィエの大切な友人であり、パープルと日本の架け橋として、オリヴィエにインスピレーションを与え続けてきた人物。雑誌『DUNE』の編集長として知られる故・林文浩だ。展覧会のオープン前日、ギャラリーを訪れたオリヴィエに話を聞いた。

■まず、展覧会の感想を教えてください。

とてもハッピーな気分です。素晴らしい展覧会で、作家たちの名前を記すグラフィティーもいいですね。写真ととてもよくマッチしている。写真撮っておかなきゃ。

マガジンを始めた20年前、日本は僕らにとってインスピレーションの源でした。だから今回、東京に戻って来ることができて、パープルのバースデーを祝えるのがとても嬉しいです。

それに、このギャラリーは私の古い友達のチャーリー(注:林氏の愛称)が設立した場所。たくさんの東京のフォトグラファーや様々な人々を紹介してくれたのが彼でした。私はこれからももっと東京の人たちと一緒に仕事をしたいと思っています。今回の展覧会は、パープルの20年という過去をお祝いするだけのものではなくて、私にとって新しいスタートでもあるのです。

■林さんとの思い出を教えていただけますか?

彼と一緒にごちゃごちゃのデスクで寝て、サウナに行き、レストランにもカラオケにも行った。彼はいつも私に、東京のベストを見せてくれました。食べ物も、温泉も、サウナも、カメラショップも……。東京であるカメラマンとケンカしそうになった時に、私を守ってくれた命の恩人でもあります(笑)。

■20年という期間、雑誌を続けるのは大変だったと思いますが、今まで続けることができた秘訣を教えてください。

それは、愛していたからです。成功したかどうかは関係なく、ただファッションを、そしてマガジンを愛していたからです。マガジンこそ、私の人生のすべてなのです。マガジンを作ることは、私にとっては仕事ではなく、読書やランニングや食事、セックスと同じように人生の一部なのです。何をするのもすべてマガジンのため。それらすべてが誌面の一部になります。人生がマガジンってそういうことです。これは、死ぬまで終わらないでしょうね。

私はライターであり、アーティストであり、フォトグラファーであり、編集者です。いつも次号のことを考えています。次にもっと良いものを作りたいと願って、そして決して現状に満足しないのです。それは仕事ではなく、ピュアな愛です。次はもっと良いものを作りたいと思い続けて、20年が経ちました。時間が過ぎるのは本当に早くて、もう20年だなんて信じられません。

イベント情報】
"NOCTURNAL DREAM" Purple 20th Anniversary Show Supported by LOUIS VUITTON
会期:2012年11月30日(金)から12月16日(日)まで
開廊時間:14:00から20:00まで
休廊日:水曜日
場所: THE LAST GELLERY
住所:〒108-0007 東京都港区白金3-1-11
編集部
  • オリヴィエ・ザーム氏、自身の作品の前で
  • オリヴィエ・ザーム氏、自身の作品の前で
  • オリヴィエ・ザーム氏、自身が撮影した林文浩氏(作品内左)の写真の前で
  • オリヴィエ・ザーム氏、自身の作品の前で
  • オリヴィエ・ザーム氏、自身の作品の前で
  • オリヴィエ・ザーム氏
  • オリヴィエ・ザーム氏が撮影した林文浩氏(左)
  • 鈴木親氏が撮影した林文浩氏
  • 「NOCTURNAL DREAM」展会場となった、東京・白金の「THE LAST GELLERY」
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