ドイツの写真家、アンドレアス・グルスキーの個展が3日より、六本木の国立新美術館で開催されている。報道陣向け内覧会ではグルスキー自身が説明を行った。
会場には縦横2mから5mにも及ぶ、巨大で精密な写真群の他、初期の小サイズの作品計65点が並ぶ。被写体は、南極から東京証券取引所、ツールドフランス、99セントショップ、プラダショップのシューズディスプレイまで様々。
グルスキーは1960年代ドイツ写真アートを変革した、ベッヒャー夫妻に師事。トーマス・シュート、トーマス・ルフなどドイツ写真アートの大御所を多く輩出したベッヒャー派の1人だ。ベッヒャー夫妻は、建造物や景観を俯瞰した撮影を行い、被写体を理解しようとする「タイポロジー(類型学)」という写真技法を編み出したことで知られている。
今回披露されている作品も鳥瞰風景が多い。デジタル加工によって人物や細かいディテールが加えられ、意図的に細部までピントが合わされている。代表作である「カミオカンデ」(2007年)の水面は合成されたものだという。展示作品の選定と展示方法はグルスキー自らが指南した。
「ヨーロッパの展覧会とは違う作品を選んだ。写真はアクリル板と一体にしており、展示物自体が作品。壁1面に対し、1枚のプリントに限って配置している。これによりインスタレーションのような会場構成になった。展示を見てもらえば、“今現在の私”が自分の作品をどうとらえているか理解してもらえると思う」
【イベント情報】
アンドレアス・グルスキー展 ANDREAS GURSKY
会場:国立新美術館
住所:東京都港区六本木7−22−2
会期:9月16日まで
時間:10:00から18:00(金曜日は20:00まで)
料金:一般1,500円、大学生1,200円、高校生800円、中学生以下無料
休館日:火曜日