“ジェンダーレス”にクローズアップしたイベント「un-gender@TOKYO解放区 by MIKIOSAKABE」を伊勢丹新宿店で開催した坂部三樹郎に、今このテーマと向き合う心を聞いた。
同イベントでは、男性がフェミニンな服に身を包み、女性がマニッシュな装いをするなど美の基準が多様化するこの時代に、「人間としての魅力を表現するファッション」をテーマに、ジェンダーにとらわれない自由な価値観や、性差を超えた美しさを提案した。
「日本は昔から“性”についてオープンな国。今でも宝塚や歌舞伎など、性を越えた文化がある。日本には、西洋の人が指す『ゲイカルチャー』とは違う、性を越えたものが絶対にある」と坂部氏は語る。この考えから今回のテーマ“ジェンダーレス”に至ったという。
日本のストリートファッションはハイブランドとファストファッションをミックスする“何でもあり”なスタイルとして認知されているが、そこにも坂部氏は“ジェンダーレス”と共通点を見出す。
「人にも植物にも等しく魂が宿るという日本独特の考えから、階級を意識しないストリートファッションが派生したと思う。その思想は論理的な男性思考よりも、感情的な女性思考に近いと考えた」
ベルギー・アントワープでファッションを学んだ背景からもたらされる論考だろう。そして、「ファッションというのは、世界や人々の大きな流れと関連しており、次の時代の人間を作るものだと思う。そして、これからはアジアが経済や思想の中心になってくるのではないか」と展望する。
最後にファッションが担う役割として「ファッションは、その時代、その場所で体感した人が一番理解できるもの。その瞬間的な感覚を感じられるのが、人間の一番大事なセンスだと思う」と自身のファッション観で締めくくった。