東京・六本木の森美術館で5月31日から8月31日まで、「ゴー・ビトゥイーンズ展:こどもを通して見る世界」が開催される。
「ゴー・ビトゥイーンズ(媒介者 )」とは、英語が不自由な両親の橋渡しとして様々な用務をこなす移民の子供達のことを指す言葉。19世紀後半のニューヨークで貧しい移民の暮らしを取材した写真家のジェイコブ・A・リースが作り出した。
本展では、異なる文化の間、現実と想像の世界の間など、“様々な境界を自由に往き来する”子供の性質に注目し、より多様な価値が共存する新たな世界への可能性を模索。世界各国のアーティスト26組の作品を通して、政治、文化、家族など子供を取り巻く環境や諸問題に目を向ける。
見所は貴重な歴史資料の数々。アメリカのフォトジャーナリズムの草分けでもあるリースらによる、19世紀末から20世紀初頭の写真や、第二次世界大戦中にカリフォルニア州の日系アメリカ人収容所の様子を写した宮武東洋の写真などが並ぶ。
国際的に活躍するアーティスト達の日本初公開作品も多数登場。2009年のベネチアビエンナーレでオランダ館を代表した映像作家のフィオナ・タンに加え、アジアのアートシーンを牽引するウォン・ホイチョンらが日本初公開作品を披露する。また、昨年日本公開されて話題を呼んだ、パレスチナが舞台の映画「自由と壁とヒップホップ」を手掛けたスヘール・ナッファール&ジャクリーン・リーム・サッロームなど気鋭の作家達の作品も紹介。クリスチャン・ボルタンスキー、奈良美智らも参加する。
更に本展のための新作として、照屋勇賢は沖縄の子供を映し出す新作インスタレーションを、山本高之は子供達の手による「地獄」をテーマとしたワークショップ作品を発表する。
その他、移民や国際養子縁組、アボリジニなどの少数派コミュニティーなど、子供を取り巻く社会問題について議論するプログラムが実施される他、アフガニスタンの少女やインドの売春窟に住む子供、北海道朝鮮初中高級学校に通う子達を描いた映画など7本が上映される。
本展は11月8日から12月23日まで名古屋市美術館、2015年1月16日から3月15日まで沖縄県立博物館・美術館、4月5日から6月7日まで高知県立美術館を巡回する予定。
【イベント情報】
ゴー・ビトゥイーンズ展:こどもを通して見る世界
場所:森美術館
住所:東京都港区六本木6-10-1六本木ヒルズ森タワー53階
会期: 5月31日から8月31日まで
時間:10:00から22:00(火曜日のみ17:00まで)
入場料:一般1,500円 学生1,000円 4歳から中学生まで500円