ザ サカキ(theSakaki)が15-16AWコレクションを披露する「申展」を行った。申=猿ではなく、デザイナー・榊弘太郎が“申す”プレゼンテーションだ。
「アイテムの見た目やネーミングから“和”とくくられることは表層的。なので、自分で説明したい」と榊デザイナーが申すプレゼンテーションは始まった。
今シーズンの新モデルは3型。撥水生地とウールで切り替えたリバーシブルハンティングコートとクラッチバッグのように畳まれるパッカブルマウンテンパーカは、ボタンで違和感なく合体する新アイテム。コートの上にパーカを重ね、バックネックや脇、股下を留めることでスポーティーなルックへと変化する。「雨の日でも傘を持ちたくない」から作ったという。マウンテンパーカは3レイヤーの防水仕様。アイコンアイテムであるスタジャンとも合体可能だ。
もう一つは2015年の干支・未に掛けて、ムートン、羊毛のメルトン、フラノなど羊にまつわる様々なマテリアルを盛り込んだボンバージャケット。スタジャンから派生したパターンの新型だ。
今まで発表してきたimagi(居間着)、スタジャン、カンフージャケットはOni No InuMA-gi(On IMA-gi)、Do-gi(動着)、遣唐着とアイテム名が変わった。それぞれ和・洋・漢をイメージさせるアイテムだが、ネックのパターンは同様。「生地や付属品などでそれらのイメージが付けられるのは表層的」と申す榊は3要素を盛り込んだジャケットを製作。
生地は広島の備後織り(和)、ボタンは装飾的なひも留め(漢)、そして形がテーラードジャケット(洋)という1着。襟を折り返し、タキシード仕様にもなる。
ダブルのチェスターコートは、見た目は変わらないが仕様が大きく変わった。コートのトレンドは軽さや着易さが追求され、ダブルフェイスやボンディング生地が流行っているが生産が難しい。榊は軽さと作りやすさを追求した。
まずボディの裏地を外し、縫い代をパイピングで仕上げた。「今は室内にいることが多い、(コートを)脱いだ時に見える裏地のしわが気になる」と榊は申す。また、表地と見返しの生地厚を変えている。これにより、自然に甘く返る襟のデザインとしている。アイロンプレスもしない。そもそもテーラーカラーは軍服のスタンドカラーが倒れて出来上がったもの。それ自体表層的ではないかと榊は考えている。「冬は襟を立てて着たい」とも。
スーツのジャケットも同様の仕様を踏襲している。肩パッドは入れず、パイピングで代用。肩線を後ろにずらし、ダーツの処理とアームの丸みを確保した。毛芯などはあえて入れない。理由は「着易い」からだ。
シャツはウイングカラーが新たに登場。生地は15SSから続く120双糸のオックスフォード。シャツ地のトランクスは丈が延びてステテコとなった。前後についた袋布の大きいポケットが裏地のように透けるのを防ぐ。
スタジャンの刺繍サービスにも新デザインが登場した。西遊記の孫悟空。つまり、申(猿)だ。