西武渋谷店は8月21日、8年ぶりにファッションフロアをリニューアルした。「アート&デザイン」をテーマに、A館3階はnendoの佐藤オオキ、5階の婦人服フロア、B館5階紳士服フロアは建築家の永山祐子が環境デザインを手掛け、従来の売り場からイメージを一新した。
佐藤オオキがデザインしたA館3階婦人服フロアのコンセプトは、“ヨーロッパの公園に隣接した遊園地”。スカイブルーの天井、メリーゴーランドをイメージしたイベントゾーンは白黒のグラフィック、フロアはシェブロンパターンで、同フロアがターゲットとするコンテンポラリーでエッジィな30代女性に向けた環境演出となっている。
自主編集売り場「キートゥスタイル」はインポートとドメスティックの若手デザイナーを中心にセレクション。海外ブランドではフード・バイ・エアーとマルセロ・バーロンのウイメンズ、パブリックスクールなどを新規導入。国内からは森本容子が手掛ける、メイド・イン・ジャパンのデニムにこだわったバンカー、江角泰俊と西武・そごうオリジナルブランド、リリシスト・バイ・YEなどを展開。
また同売り場では若手デザイナーのインキュベーション機能を持たせる意味から、エスモードパリを卒業して間もない、トークンなどの新人デザイナーのブランドも今回導入されている。また同フロアではトゥモローランド、デプレ、セオリーも改装された。
A館5階婦人服フロア「モードプラス」は“宮殿”をコンセプトにシルバーのメタルカーテンで区切られた部屋がつながっていく演出。“エシカルな消費スタイルで意識の高い50代のエグゼクティブキャリア”“好感度なオトナに驚き”を与える“美術館のイメージ”で商品を並べた。展開ブランドはマローブ、ミカコナカムラなどのドメスティックブランドや、ロレーナ・アントニアッツィ、マリーナヨッティングといったインポートのラグジュアリーブランドを総40ブランドで展開している。また、同フロアでは西武池袋店に続き国内2店舗目となるジョナサン・アドラーのフルラインショップも新しく誕生した。
B館5階紳士服フロアはA館と同じ永山祐子の環境デザインで“博物館”をコンセプトに、シックでクラシカルなトーンで演出。オープニングではピニンファリーナのポップアップショップが登場。リュクスカジュアルのゾーンでは鈴木良彦とのコラボで展開する旅をテーマにしたブランド、NYCグッドマンスタイルの隣に、オランダ王室御用達の園芸スコップブランド、スネーブールスコップがディスプレイされるなど、大人の男の趣味をフロア全体で打ち出している。同フロアではオープニングイベントとして実験用の精密ガラスを制作していた経歴を持つガラス作家の松村潔による作品も展示、販売されている。
今年5月から改装工事がスタートし、約20億円をかけた今回のリニューアルは2007年以来のこと。篁富夫店長は「現在約20のプロジェクト、30以上のビルが渋谷エリアでは建設中。今後、商業集積がますます進み、企業も増加し、街としての厚みが増すと予想している。文化・IT・ファッションという分野でとらえると東京の中で最も進んだエリアであり、その渋谷駅前という立地環境を考えて今回のリニューアルを実施した。2020年に向けて、工事中の多い渋谷の街の中で少しでも地域に貢献することが出来ればと考えている。特に渋谷店は個性が重要だと認識しており、クリエーションの意識が高いブランドを集めることで、ファッションを楽しむ層に衣食住バランス良く提案していきたい」と話す。
なお、今回リニューアルされなかった他のフロアに関しての計画は未定。