mameの服からは、情景が浮かび上がる。
凛とした強さを、繊細なディティールで包み込んだかのようなコレクションで私たちを惹き付けるmame。11SSのデビューから5周年を迎えたmameのデザイナー黒河内真衣子さんに会いにいった。彼女の言葉から、mameの現在地とこれからを読み解く。
ーーmameのデビューから5年が経ちました。この5年でmameが思い描く女性像に変化はありましたか?
具体的な女性像は大きく変化していませんが、ブランドとしての挑戦は続いています。例えば「mameの洋服を着るシーン」は、以前よりも多様化していると思います。海外で展示会をしたり、様々な人たちとの出会いの中で、自分自身が「こんな服を着てみたい」という思いが新たにめばえ、そこからデザインやコレクションのイメージが広がることもあります。環境が変わることで、自分たちが着る洋服のバリエーションも増えていき、同時にアイテムの多様化に繋がっていると思います。
ーー「挑戦」というキーワードが挙りましたが、mameにとっての「挑戦」とは?
具体的なアクションではありませんが、昨年はmameをというブランドを新たに知って下さる方が増えてきていることを実感した1年でした。mameの商品には刺繍やレースなど繊細なディティールを用いたアイテムも多く、その強度と共に商品のクオリティを高めていくことが、次の大きな挑戦になっています。次のステージに向けて生産背景を整えている段階なので、わかりやすい挑戦ではないかもしれません。かといって、コレクションが守りに入る訳ではありません。今まで取り入れなかった素材や技術に挑戦することで、新たな表現を模索しています。
ーー昨年末には、ファッションシーンの明日を担う女性に贈られる賞として『VOGUE JAPAN Women of the Year 2015』の中に新設された「Rising Star of the Year 2015」を受賞されました。黒河内さんご自身は、ファッションにおけるデザイナーの役割をどう捉えていますか?
ファッションには華やかなイメージがあります。そういった華やかな面が、誰かの希望や憧れの対象になることもあると思います。一つのブランドとして、ファッションのそういった側面を見せることも大切だという思いはあります。
華やかさがある一方で、様々な生産工程があることも事実です。工場やファッションに携わる現場の方々の働きがあって初めて、私たちのブランドが華やかな憧れの対象になりえるのだと思います。
押し付けがましく生産背景を発信していくのではなく、ファッションが生まれる現場が持つ魅力を、まず私たちがよく理解すること。そしてmameというフィルターを通して「美しいもの」として発信していきたいです。
2/2に続く。