銀座に自身のギャラリー、KHギャラリーを2012年にオープンして以降、アーティスト小篠弘子としての活動と、デザイナーヒロココシノとしてのアーカイブは、シーズンを重ねるごとにその距離を縮めている。10月20日、東京・恵比寿ガーデンホールで発表された17SSコレクションは「BOUNDARY~あたりまえへの挑戦~」をテーマに、キュビズムをスポーティで表現した。
ショーはお決まりの花道スタイルのランウェイを設けず、シアター風に中央にスクエアの平面のステージをライティングで描き出す。光のインスタレーションは昨年京都、今年は芦屋でコラボレーションしているアーティスト集団サークルサイド(circle side)の作品。現在、滋賀県近江八幡市で行われている展覧会「BIWAKOビエンナーレ2016 見果てぬ夢」で「Resonance」という作品を発表している。
コレクションは大胆な曲線とアシンメトリーな表現で、ジャージー素材をドレスやスキニーなパンツスタイルなどでラインナップ。デニムやメッシュ、ビッグシルエットといったシーズントレンドをさらりと取り入れながら、アートとの境界線をモードで遊んだゆとりのコレクション。
アートモチーフは自らの絵画からのカットアップ、表面変化のあるニットやオプティカルプリント、ストライプやチェックを幾何学的に組み合わせることで、二次元と三次元を揺蕩う。
なお、ヒロココシノ(HIROKO KOSHINO)は9月1日付けで代表取締役社長に長女の小篠由佳が就任。前社長の小篠弘子は代表取締役会長となり、アーティストワークに専念できる体制が新たにスタートした。
Text: 野田達哉