NY植物園で開催中の草間彌生展「KUSAMA: Cosmic Nature」へ! ニューヨークから届いたアートレポート【From cities 世界の都市に憧れて vol.16】

開催日:2021.04.10-10.31
2021.08.20

連載【From cities 世界の都市に憧れて】では、パリミラノ、NY etc...世界の都市の街のこと、注目アドレスやリアルなシティスナップなど、現地からの最旬情報をお届け! 近い未来、また気兼ねなく海外へ行き来できるようになったら行ってみたい、暫くは、そんな気持ちも込めてお送りしていきます。

第16回目は、この春からニューヨークシティの北部にある“NY植物園(New York Botanical Garden、通称:NYBG)”で開催されている、草間彌生「コズミック・ネイチャー(原題:「KUSAMA: Cosmic Nature」)」展にフォーカス。

今、多くのニューヨーカーは、長く続いた厳しい規制の時期を乗り越え、2年ぶりの夏を楽しむのに夢中。今回ピックアップしたNY植物園で開催中の展、現地では「KUSAMAはもう行った? まだ行ってないの? 」なんて会話が聞こえてくる話題のスポットになっている。8月3日から追加公開されたインスタレーション作品『Infinity Mirrored Room(無限の鏡の部屋)』の情報も必見!

オンライントリップ気分で楽しみたい、NY在住スタッフによる展覧会レポート。早速チェックして。


NY植物園で開催中の草間彌生「コズミック・ネイチャー」展とは?


本展「コズミック・ネイチャー(原題:「KUSAMA: Cosmic Nature」)」は、NY植物園の様々な場所に草間彌生の作品が配置され、日々移り変わる景色と植物と共に草間彌生作品が楽しめる、とNYで今話題の展覧会。

元々この企画展は、2020年に開催が予定されていたもの。ただ、新型コロナウイルスの影響を受け、1年延期の末、今春より開催。加えて、今夏、8月3日からは、草間彌生の作品を代表するアートワークの一つである、インスタレーション作品シリーズの『Infinity Mirrored Room(無限の鏡の部屋)』の室内も公開された。


本展の開催場所であるNY植物園は、ニューヨークの北部のブロンクス地区(マンハッタンの中心部から電車で1時間程度)にある、計250エーカー(およそ東京ドーム23個分)の広大な敷地を持つ植物園。一年を通じて四季折々の植物が観賞でき、たとえ企画展鑑賞抜きでも十分に訪れる価値のあるスポットだ。

いざ、NY植物園へ!
作品の展示スポットは、全部で10ヶ所あり、本記事では内9ヶ所(作品『Walking Piece』以外のスポット)をピックアップ。各スポット毎に、作品とその作品が佇まうアートな風景を紹介していく。


SPOT1.『I Want to Fly to the Universe』
チャーミングな作品に迎えられて


入園して最初に目に飛び込んできたのはこちら。2020年に制作された新しい作品で、宇宙に向かって大きく手を広げた新種の生命体のような力強さを感じる。ぽかんと開けた口から何かを吸い込んでいるかのようで、なんだか癖になるチャーミングさがある。


SPOT2.『Pumpkins Screaming About Love Beyond Infinity』
パンプキンが浮かび上がる、秘密のトリックアート


前述の『I Want to Fly to the Universe』のすぐ脇に、小さな建物が。残念ながらこの空間は撮影禁止とのことで、テキストのみでご紹介。

建物内入ると、中は真っ暗で無音。何かをじっと待つ人々の気配だけを感じる。しばらく経つと、空間の中央にぼんやりと黄色いパンプキンが浮かび上がり、合わせ鏡のトリックで、徐々にパンプキンは、空間の奥深くへと無数に広がって、のちにゆっくりと消えていく。静かに繰り返される無数のパンプキンの移ろうさまを眺めていると、だんだんと作品の世界に吸い込まれるような感覚を覚えた。


SPOT3.『Flower Obsession』
ゲストと作り上げる、花々に満ちたインスタレーション


先ほどのスポットからしばらく歩いて行くと、ビニールハウスのような白い小屋が見えてきた。小屋の手前で、スタッフからピンク色ののステッカーを渡される。

「このステッカーは、これからインスタレーションに参加するためのものだよ。小屋の中の好きなところに貼ってきて! 」とのこと。
小屋に足を一歩踏み入れてびっくり。先ほどの花のステッカーがひとりでに増殖したかのような世界が広がっていた。

興奮した様子の子供達の声が聞こえてくる、どこにこのステッカーを貼るかで大騒ぎだ。
ここは、元々誰かの家のリビングルームのように、椅子やテーブル、植物などが置かれているだけの空間だったようで、埋め尽くされたステッカーの隙間を注意深く見てみると、テーブルの上には食器や花瓶、本などが置かれている。これまでに訪れた来場客の一人一人が、一枚ずつステッカーを貼って作っていくアート作品ということか。


少し離れた場所から眺めると、不思議と草間彌生が描いたペイント作品のようにも見える。


SPOT4.『Ascension of Polka Dots in the Trees』
お馴染みの水玉模様でドレスアップした木々

しばらく立ち止まって、木々を見上げる人々
『Flower Obsession』の小屋を出ると、次に見えてくるのは、ピンク色の水玉柄でドレスアップした樹木。実際に見ると写真の印象より大迫力のスケールだ。まさに、NY植物園という場所の特性を生かした作品。


SPOT5.『Narcissus Garden』
心地よい水辺の散歩、水面に浮かぶのは1400個の球

一つ作品を見落としていたため、来た道を少し戻って、水辺をしばらく歩く。
すると現れたのは、水上に浮かぶ銀色の球体。その数、なんと1400個……!


ステンレス製の球体は、風に吹かれてぶつかり合うと、小さくカチカチと音を立てながら、群れとなってゆっくりと移動していく。風の強さで音が少し変わるのがわかる。時々、キュッと高い音も聞こえる。ベンチに座って眺めていると、頭が空っぽになっていく様な感覚になり、心地よい。

>>【続いて、植物園の温室へ】
温室の奥へと広がる、NY植物園ならではの世界とは?


編集部
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