アボリジニアートが新宿伊勢丹に集結。エミリー・ウングワレー作品も販売

2014.09.01

6万年とも言われる長い間、大自然の中で狩猟採集生活をしてきたオーストラリアの先住民・アボリジニは、文字を持たなかったことから、砂の上や人体に「文字に代わるビジュアル」を描いて自らの想いを表現してきた。

そんな彼らに転機が訪れたのは1971年のこと。イギリス人の美術教師ジェフリー・バーデンが、アクリル絵の具を使ってキャンバスに描くことを教えたことがきっかけとなり、彼らの描く「アボリジニアート」は瞬く間に現代美術界に知られるところのものとなったのだ。

西洋美術からかけ離れた偏狭の地で生まれる“裸足のアーティストたち”による作品は、今や最先端のコンテンポラリーアートとして高く評価され、世界各国のメジャーな美術館に所蔵されているほど。

では紹介されることが少ないその貴重なアートの数々が、9月10日から16日まで、伊勢丹新宿本館5階アートギャラリーでお披露目される。

展示点数は60点ほどで、中には、アボリジニの天才画家と評されるエミリー・ウングワレーの作品もある。すべて購入可能で、中心価格帯は10万円台から40万円台だが、エミリーの作品に限っては少々高額。

作品をセレクトしたのは、アボリジニアート・プロデューサーの内田真弓。日本語教師として派遣された現地の村で、アボリジニアートと運命的な出合いを果たしてすっかり魅了され、そのままメルボルンのギャラリーでアボリジニアートコーディネーターとして6年間働いたというキャリアの持ち主だ。

6年の時を経て独立後は、メルボルンに拠点を置く「Land of Dreams」を設立し、日本におけるアボリジニアートの啓蒙に努めている彼女の力添えによって、2008年には国立新美術館で「エミリー・ウングワレー展」が開催されたこともある。

今回の展示には、エミリーの他にも数々の、天賦の才を持ったアーティスト達の作品が集結。いずれもメッセージ性が強く、作品の前に立つとパワーの強さに驚かされること必至だ。気にいったものが見つかれば、リビングや寝室に置いて毎日エネルギーチャージするのもおすすめ。モダン家具とも相性がよく、部屋の雰囲気が一気にランクアップしそうだ。

会期中は内田も連日在廊するので、作品や作家についての疑問をぶつけてみるのもいいだろう。真摯に受け答えしてくれる彼女から、作品に込められた想い同等の熱い気持ちを感じることができるに違いない。

また、9月13日14時から30分、ギャラリートークも開催される。アボリジニアートへの造詣を深めたい人は必見。
松本玲子
  • アボリジニアート 作業の様子
  • エミリー・ウングワレー 「マイ・カントリー」 アクリル 115×105cm(500万円)
  • ジョニー・ヨングット・チュプルラ 「ティンガリ」 アクリル 46×38cm(32万円)
  • アボリジニアート・プロデューサーの内田真弓(左)
  • タタリー・ナパルラ 「女性の儀礼」 アクリル 60×60cm(29万円)
  • アボリジニアート 作業の様子
  • アボリジニアート 作業の様子
  • アボリジニアート 作業の様子
  • アボリジニアート 作業の様子
  • オーストラリアの風景
  • オーストラリアの風景
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