イタリア発のテキスタイルメーカー「アルカンターラ(Alcantara)」は、ファッション誌『Vogue Italia』との共同イベント「アルカンターラ・ニューウェーブ」をミラノ・ファッションウィークの初日、9月17日に開催した。
これは『Vogue Italia』で行われている、世界の才能ある若手デザイナーを発掘する企画「WHO IS ON NEXT?」(次に流行るのは誰?)の一環として行わたもの。これに際してアルカンターラでは、過去に同企画で取り上げられたデザイナーのうちの5組を指名。同社が誇るカバーリング素材「アルカンターラ」を使用し、15SSのミニ・コレクションを発表するよう依頼した。
これに対して各デザイナーは、独自性あふれる衣装、アクセサリーなどの作品を発表。アルカンターラの素材が持つ美的特性を活かしたクリエイションを披露した。イベントに参加したデザイナーは以下の5人となっている。
ポール・アンドリュー(Paul Andrew)は「ダナ キャラン(Donna Karan)」や「カルバン・クライン(Calvin Klein)」などで15年間デザイナーを務めたあと、ニューヨークに移住。現在は自身のブランドを手がけている。昨年の「WHO IS ON NEXT?」ではアルカンターラを使用した靴で、アクセサリー部門の賞を受賞。今年は明るいイエローと柔らかいピンクの素材を使用し、そこにメタルのタッチを追加。パンプスではデニムのようなパターンを加え、そこに白いヘビをあしらった。豪華なレザーと、プリントされたデニムのカジュアルでシックな印象が見事に調和している。
アーサー・アルベッセ(Arthur Arbesser)は現在、イタリアで活躍する若手デザイナー。デビューは2013年のミラノ・コレクション。今回のコレクションではアルカンターラ素材のネットに 3D メッシュを重ねた素材と、ストライプ・パターンのアルカンターラ素材を使用する。前者は厚みがありながらも、穴の効果で透明感があり、これを生かしてシャープなカットのコートやスラックスを作成。後者は色のついたストライプの上に、つやのある透明なストライプの薄い層を重ねており、全体としてはほとんど液体のようなソフトなタッチとなっている。
オ・ジュール・ル・ジュール(Au Jour le Jour)は、ミルコ・フォンタナ(Mirko Fontana)とディエゴ・マルケス(Diego Marquez)のコラボユニット。ジョルジオ・アルマーニ(Giorgio Armani)から高い評価を受けるなど、そのデザインはすでに業界から高い評価を受けている。コレクションでは鮮やかな色彩のアルカンターラを選び、色のバリエーションとマッチングに注目した作品を発表した。
パウラ・カデマルトーリ(Paula Cademartori)はブラジルで工業デザインを学んだのち、イタリアに移住。11年の「WHO IS ON NEXT?」では最終選考に残っている。出品する作品には故郷ブラジルの要素を取り入れながら、鳥の羽などとの風変わりなマッチングを追及。パーフォレーション加工を施したアルカンターラが、レザーなど他の素材と層を重ねることで、多彩な色合いと立体的な効果を見せている。
ステラ・ジャン(Stella Jean)は「ワックスとストライプの女王」と呼ばれており、12年に初のコレクションを発表。大成功を収めている。コレクションではヨーロッパの学究的な厳密さと、アフリカをルーツとするクレオール文化の奔放さが混在となった、同氏の特色を遺憾なく発揮。5種類のアルカンターラ素材を使用し、素材の特性を活かしながら、その中にも厳然たる個性を表現した作品を発表している。