宝塚歌劇100周年記念『シカゴ』製作発表会実施。メインキャスト9人がファンを虜に

2014.09.17

宝塚歌劇100周年を記念して、世界初となる女性キャストのみのミュージカルシカゴ』が上演される。出演するのは宝塚元トップスターのOGだ。9月17日、メインキャスト9人が出席する記者発表会が行われた。

『シカゴ』はブロードウェイでの1996年の初演(リバイバル版)以降、17年以上のロングラン記録を持ち、公演回数は7,000回以上。劇中で歌われる曲はミュージカル史に残る名曲ぞろいだ。また、愛憎に満ちた人間ドラマをコミカルに描いていることから、ミュージカル初心者も作品の世界に入り込みやすいため世界中で高く評価され、作品やスタッフ、演じる俳優にいたるまで、数多くの賞を受賞してきている。

しかし、それほどまでに長い歴史を持ちながらも、未だかつて女性キャストのみでの上演記録は存在しない。そのため、今回の舞台には、場ブロードウェイからも熱い注目が集まっている。

記者発表会でまず登場したのは、ヴェルマ・ケリー役の3人。ピアノの生演奏に合わせて「オール ザット ジャズ(ALL THAT JAZZ)」を披露した和央ようかは、高貴なのようにクールな表情。歌唱中も笑顔を絶やさずコケティッシュな魅力を振りまく湖月わたる、大人の色香を漂わす水夏希と、三者三様の個性を光らせた。

続いて登場したロキシー・ハート役の3人が披露したのは「ロキシー(ROXIE)」。愛くるしい容姿と裏腹にパラフルな歌声で魅了する大和悠河、小動物のようにキュートなルックスの朝海ひかる、優雅な振る舞いが印象的な貴城けい共に、可憐な見た目ながら内に秘めた強さを感じさせるロキシーのイメージにまさにぴったりだ。

そして、今回のチャレンジングな舞台の要ともいえるビリー・フリンに扮する3人は、「オール アイ ケア アバウト(ALL I CARE ABOUT)」を披露し、会場の女性ファン達を虜にした。周りを包み込むようなやさしい雰囲気の峰さを理、大らかなオーラの麻路さき、ミステリアスな魅力を持つ姿月あさと共に、しなやかな動き一つひとつが既にビリーそのもの。2ヵ月後の開演を大いに期待させた。パフォーマンス後には全員が着席して、今回の舞台に対する想いを披露。

演出家の吉川徹が、「清く正しく美しくないストーリーを、“歩くミラーボール”のように美しいキャストたちがどんな風に演じていくかが楽しみ。女の美しさ、かっこよさを堪能してほしい」とコメントすると、一気に場が和み、アットホームな雰囲気に。

続いて、「記念すべき100周年の最後のイベントに出演できることを大変光栄に思っている」と峰が語ると、麻路は「退団後、結婚して子育てを終えた節目の年に舞い込んできたこの仕事に退団してからこれまでの経験を詰め込みたい」、姿月も「宝塚の演目ではなく、ブロードウェイの『シカゴ』をやることを意識して必ず成功させたい」と意気込みを語った。

また、和央は稽古初日に感涙したことを振り返り、「年をとって涙腺がゆるくなったのかな」と笑わせ、貴城は「自分達にしか作れない『シカゴ』を生み出したい」と意気込んだ。

更に、記者から「下品な台詞も多いそうですが、中でもインパクトのある台詞は?」との質問が飛ぶと、朝海は、恋人撃殺後のロキシーの台詞「おしっこ!」と回答。他のキャスト陣からも、「ロキシーは特に下ネタオンパレードだよね」との声が挙がった。

こうしたコミカルな台詞や演出も目立つ一方、人間の内面を色濃く落としこんでいる作品であることも注目だ。これに関して、麻路は「キャストは若くない分、人生においていろいろな経験を積んでいるという武がある。現役時代とは異なる魅力を感じてほしい」とコメント。隣で頷く峰も、「退団後に多くの苦労を重ねた人もいるが、その苦労こそ表現者にとっては大きな糧になるので、より魅力的な『シカゴ』を作り出すことができるはず。大人の魅力満載の舞台をぜひ堪能してほしい」と語った。

公演は11月1日にスタート。東京国際フォーラムでの幕開けに続き、大阪愛知、東京凱旋まで、存分にファンを魅了してくれそうだ。
松本玲子
  • ブロードウェイミュージカル『シカゴ』宝塚歌劇100周年記念OGバージョンの制作発表会
  • ブロードウェイミュージカル『シカゴ』宝塚歌劇100周年記念OGバージョンの制作発表会
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