伊勢丹新宿店本館2階「TOKYO解放区」では、3月19日から31日まで、“カワイイだけじゃないもう一つの東京の顔”をコンセプトに、シンプルで洗練された「ミニマル」な美しさを持つ、今のTOKYOらしいブランドをそろえ、ニューカマーブランドを中心に最旬ルックを提案した。
同企画に参加したブランドの一つ「ティート(tiit)」のデザイナー岩田翔
が、先輩デザイナーである「ミキオサカベ(MIKIOSAKABE)」の坂部三樹郎、「ケイタマルヤマ(KEITA MARUYAMA)」の丸山敬太を招いたトークショーが29日同店で開かれた。
ちょうど10歳ずつ年齢差があるという3人は、“世代を超えたファッション観”をテーマにトークを展開。デザイナー同士のファッションに対する辛辣な声も聞かれた。
現代はアパレル産業の著しい停滞により若手デザイナーの境遇を哀れむ声が多いことを受け、丸山氏は「日本はまだまだ世界的に見て洋服に情熱がある国。ただ、世の中に楽しいことが増えすぎて、選択肢が多くなっていることが問題」とコメント。坂部氏は「情報が多すぎるが、ネット上で見るのと手に取って体感するのは全く違う。ファッションで心を満たすことはとても大事」と話し、岩田氏も「今の世の中は色がない。生身のものの温度感が伝わらない。それがファッションで出来たらいいなと思っている」と述べた。
そして丸山氏は「アパレル」と「ファッション」の違いについても言及。「“アパレル”は百貨店やアパレル産業のことを指し、“ファッション”は人が生み出すもの。日本では前者を“ファッション”だと思っている。洋服は着て心を満たすものであり、“用を足す”ものはファストファッションでそろう。自分は心を満たす服を作りたい」と語った。
若手が海外を目指すことについては、丸山・坂部共に「慎重にいくべき」と声をそろえる。グローバルな視野で海外へというのでなく、もっとビジネス的な観点を持って臨むべきもので、世界基準の服はまずサイジングも難しく、戦略を持つことが大事だという。
会場からの「服をもっと身近なものにするという意味で、パーソナルな服の提案としてオーダーメイドの服が増えればいいのでは」という質問には、岩田と丸山は「オーダーはどうしても価格が高くなってきてしまう」と述べた上で、丸山は「思い出に残る捨てられない服を作るのが僕の夢で、自分のビジネスが確立したら、社会貢献でそういったことをやってみたいという想いはある」と話した。