衣装デザイナーのイデス・ヘッド(Edith Head)は 1897年10月28日生まれ。アメリカ合衆国カリフォルニア州ロサンゼルス出身。1981年10月24日逝去。
教師をしていたが、パラマウントの映画衣装デザイナーの募集を知り退職する。ファッションデザインの経験はなかったが、友人が描いてくれたデザイン画を持って面接へ行き、同社の衣装部門に勤めることができた。駆け出しの頃は、セシル・B・デミル監督の作品での仕事が多かった。オードリー・ヘップバーン主演の『ローマの休日』(53年)のアン王女や、『麗しのサブリナ』(54年)のサブリナの衣装を手掛け、人気を博した。
アルフレッド・ヒッチコックは彼女のデザインを気に入り、54年の『裏窓』以降『めまい』や『鳥』などほとんどの映画作品の衣装を任せた。イデス自身も、ヒッチコック作品に多く登場した女優グレース・ケリーを大変気に入り、グレースがモナコ公国の大公レーニエ3世と結婚する際には、ウエディングドレスをデザインした。他にも、エリザベス・テーラーやナタリー・ウッドら人気女優からの信頼も厚かった。
女優だけでなく、『明日に向かって撃て!』(69年)、『スティング』(73年)、『華麗なるヒコーキ野郎』(75年)などで、ロバート・レッドフォードやポール・ニューマンの衣装も手掛けた。アカデミー衣裳デザイン賞を8回受賞し、ノミネートは35回に及んだ。
当時、女優の衣装はきらびやかに飾り立てた華美なもの、という考えが主流であったが、彼女はシンプルな美しさとファッションセンスを取り入れ、ハリウッド衣装デザインの第一人者として活躍した。81年に死去。