フランスのファッションデザイナー、クリスチャン・ラクロワ(Christian Lacroix)は1951年5月16日、フランス・アルルのトランクタイユ生まれ。現在もパリとアルルを仕事と生活の拠点にしている。
モンペリエ大学、ソルボンヌ大学とエコール・デュ・ルーブルで古典文学と美術史を学ぶが、その後ファッションの道に転向し、舞台衣装制作を志す。
1978年に「エルメス(HERMES)」に入社し、アクセサリーのデザインを担当。「ビブロス(byblos)」や日本の「ギー・ポラン(Guy PAULIN)」で経験を積んだ後、1981年「ジャン・パトゥ(Jean Patou)」のオートクチュールのチーフデザイナーに就任した。
その後独立し、モエ・ヘネシー・ルイ・ヴィトン(LVMH)のベルナール・アルノーのバックアップにより、1987年に自身のブランド「クリスチャン・ラクロワ」を立ち上げた。それ以降、パリのオペラ座、NYのメトロポリタン歌劇場など多くの劇場やオペラ、バレエ団の衣装デザイン契約を結び、2000年に入るとフランスの鉄道TGVやホテルなど工業デザインも手掛け、美術館などで自らの衣装展示がされる際はその背景画も描いた。
94年にはカジュアルウエアのライン「バザール(BAZAR)」、96年にはデニムライン「ジーンズ・ド・クリスチャン・ラクロワ」、2004年にはメンズラインも発表するが、2005年にLVMHがファリックグループにブランドを売却。2009年6月にメゾンを閉じ、ラクロワはクチュリエとしての活動を停止した。以後、ブランドはライセンス契約のみとなり、そのうちメンズコレクションのみパリのメンズファッションウィークで発表されている。デザイナーはラクロワのアシスタントであったサーシャ・ワルコフが務めている。また、ラクロワのアーカイブドレスはファリックグループにより2010年にパリ装飾美術館に寄贈された。
現在ラクロワは、ヨーロッパの美術館の展覧会や舞台衣装、ホテルなどのデザインを手掛けている。今年の7月には、伝説のクチュリエメゾン「スキャパレリ(Schiaparelli)」ブランド創始者であるエルザ・スキャパレリを称えるイベントのために15着のクチュールコレクションをデザインすることが発表されている。
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