「マメ(mame)」は1月22日、ポップアップショップを伊勢丹新宿店3階ザ・ステージ#3にオープンした。28日まで。
会場では最新の14SSコレクションを販売。今季のテーマは「personal memory(個人の記憶)」だ。デザイナー黒河内真衣子は長野に住む祖母の家で2週間2人で暮らし、その日々の中で祖母から聞いた食べ物の話、幼少期や戦争の話を元にイメージを膨らませてコレクションを作り上げた。一つひとつのストーリーを秘めたものに惹かれるという黒河内らしいアプローチだ。
キーカラーのボルドーは、祖母が育てていた花の色。他にもネイビーやブラックなどシックなカラーパレットで構成したのは、「深くこっくりした色で軽やかな服に仕立てるととても女らしいと思う」(黒河内氏)ことから。
ミリタリー風の襟のデザインは戦争中の話をイメージ。刺繍で表現されたストライプ柄は、古い写真にあった浴衣と羽織のコーディネートからインスパイアされたもの。スポーティーなグラフィックを、モール糸を織り込んで立体的なテクスチャーに仕上げた尾州の織物で表現している。人気アイテムは、袖にレースを施したスウェット素材のトップスやワンピース、Aラインのスプリングコートという。
ブランドのアイコンであるポリ塩化ビニル製バッグシリーズはホワイト、ブラック、クリアに、新色のブラウンが加わり全モデルが勢ぞろいしている。会場の一角には、白のバッグと、綿棒や氷砂糖など黒河内が好きな“白いもの”を集めて世界観を表現したインスタレーションも展示されている。
黒河内氏は「祖母は小柄で謙虚、いつも自分のことより人のことを気に掛けていた素敵な人。彼女と向き合うことは、私自身のルーツやパーソナリティーと向き合うような経験だった。幼い頃から毎日使っていた茶碗や、蔵の中で見つけた九谷焼など、身の周りの様々なものから影響を受けて、自分自身の感性が作られていたのだと思った。今回の経験で、身近なものに目を向ける大切さを改めて感じた」と話す。
会場に飾られたイメージビジュアルも、祖母の思い出の地である長野の霧ヶ峰で撮影されたものだ。