【INSIDE】売上高の半分が海外販売。ラグジュアリーブランドから高い評価を受ける岡山のデニム生地メーカー「クロキ」

2012.12.21

国内繊維業の世界進出が課題だと言われている昨今だが、欧米を主体とする海外への輸出が売上高の半分を占める生地メーカーがある。デニム生地メーカーのクロキ(岡山県井原市)だ。

染色から整理加工まで自社工場で一貫生産するクロキは2004年からパリの生地展示会「プルミエールヴィジョン」に欠かすことなく出展を続けている。その結果、「シャネル」「ルイ・ヴィトン」「グッチ」「プラダ」など数多くの欧米のラグジュアリーブランドにデニム生地を納入している。大阪・御堂筋沿いにはラグジュアリーショップが立ち並ぶが、クロキの黒木立志社長は「あそこに並ぶブランドで当社のデニムを仕入れていない先はほとんどない」という。

デニム生地を一貫生産する国内工場は、業界広しといえどもカイハラとクロキだけだ。デニム生地の生産は、紡績→ロープ染色→織布→整理加工という工程を経る。カイハラは紡績から、クロキはロープ染色から自社で一貫生産する。そのため、クロキの社工場には見学を目的とした欧米ブランド各社の企画担当者が定期的に訪れる。

一口にデニムと言っても、ロープ染色したインディゴ糸を使っての通常の綾織りのデニム以外にも様々な織り方がある。近隣の吉河織物はインディゴ糸のジャカード織を得意とするが、クロキはドビー織りを得意とする。最近では新たにキルティング風のドビー織りデニムを開発した。その生地でシャツやパンツなどのサンプル品を製造し、そこにグラデーションの洗い加工を施す。洗い加工は近隣の協力工場に依頼するが、グラデーション洗い加工はあくまでもクロキのディレクションで行う。「生地の開発製造だけでなく、製品サンプルを作り洗い加工まで施してからアパレルには提案する。そこまでしないと最近のアパレルのデザイン担当者はピンと来ない」(黒木社長)という。

欧米の一流ブランドからも高い評価を得ているクロキの取り組みは、他の国内産地メーカーにも参考になる部分が大いにあるのではないか。
ファッションライター南充浩
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