日常が楽しくなる器やプロダクトをかたちにする造形作家、鹿児島睦。2017年は、Meets.をテーマに、昨年に引き続き、大きな反響を呼んだイイホシユミコとの共作「フローロ」の第二弾作品「フローロ ドロップ」を展開。また、海外のアーティストとの出会いから生み出したコラボレーション作品を発表する。枠にとらわれない彼のクリエーションの源はどこにあるのか。福岡市内にある事務所を訪ね、その本質にせまった。
■「みんながハッピーでいられるものづくり」が基本
ーー鹿児島さんの大伯父である鹿児島寿蔵さんは紙塑人形の創始であり、人間国宝。そして、その弟にあたるおじいさまは博多人形も作られていたそうですね。
祖父は、国土地理院からの依頼で地形モデルを作ったりしていたんです。ですから、正確に言うと造形作家、エンジニアのような人で、自分で作れるものは何でも作る人でした。そのうちの一つが博多人形でもあったというわけです。
ちょっと異質というか一匹狼で、自分の価値観でいろいろな焼成方や素材、装飾にチャレンジしたり、絵の具でも海外から取り寄せた良質な絵の具を取り入れたりして。戦後にドレスを着た博多人形を作ったり、海外のファッション雑誌を取り寄せてハリウッド女優のドレスを着た人形やマリア像を作ったり、斬新な人でした。祖母からは「おじいちゃんがいたから、あなたたちがいるのよ」とよく言われましたね。
ーーやはり今、鹿児島さんがものづくりに携わられていることは、ご家族から影響を受けた面が大きかったのでしょうか?
私自身は、父が郊外に家を建てたものですから、同じ世代の子どももいないような郡部に住んでいたんですね。家で一人で絵を描いているか泥遊びをしてるか、はたまた近所のおじいちゃんおばあちゃんのところへ行ってお茶を飲んでいるか、というような子どもでした。
兄がいるのですが、今は応用生物学を、わかりやすくいうとがんの研究を行っています。子どもの頃から兄が買ってくる自然科学の本などが身近にあって面白かったですね。飛ばし読みしながら、キーワードだけすり込まれていった感じです。確かに家族からは影響を受けていて、それはいい影響もあれば、わるい影響も…声が大きいとかね(笑)。恵まれていたなとは思います。
ーー“Meets.”をテーマにした今回のプロジェクト。これまでの人生の中で、鹿児島さんにとって大切だったと感じる出会いについて聞かせていただけますか?
強烈で個性的な身内がたくさんいましたので、それが基本だと思いますが、大学を卒業して入った会社、その次のインテリアの物販の会社と合わせて12年ちょっとサラリーマンでしたから、その時にお会いしたお客様、取引先の方々、会社の先輩、同僚、後輩…そういう方々との出会いから学んだところはすごく多いですね。
世界中のいいものをたくさん扱えていましたから、それを見たり触ったり、実際に作っていらっしゃる方からお話を伺ったり、ものを作る上でとても参考になりました。それを踏まえた上で、どういうものを私が作ったら面白がって手にとってくれるかというところで作りはじめましたし、多様性の中の一つ、楽しく使ってもらえる道具として、ものづくりをしようという想いが基本にあります。
ーーサラリーマン時代の経験が今の鹿児島さんのものづくりの姿勢に繋がっているんですね。
素敵なものを販売して、さらに仕入れるためにも売上げを作って、それでもっと面白いものを仕入れるという、ものもお金も回し続ける仕事でしたから、そういう意味で、今も私だけとか、どこかだけがいい状態になるのではなく、手にしてくださる方、メーカー、ギャラリー、セレクトショップ…どこにもストレスがかからないハッピーな状態で、ものとお金の流れを作ろうという意識は強いですね。
私が経験したサラリーマン時代をブランクと言う人もいたりしますが、その辺りのことを学べたので、遠回りでなく近道でしたし、そこは他のものづくりの方たちとは違うところじゃないかなと思います。
>>後半「互いの技術をやり取りして創造した“Meets”、 造形作家・鹿児島睦ー2/2」に続く。
>>暮らしを豊かにする、余白のある器たち。器作家イイホシユミコのMeetsとは?「Meets.-イイホシユミコ&鹿児島睦展」 【INTERVIEW】
【イベント情報】
「Meets.-イイホシユミコ&鹿児島睦展」
会 期: 3月29日~4月11日
会 場: 伊勢丹新宿店本館5階=センターパーク/ザ・ステージ#5
第一弾では、昨年に引き続き、大きな反響を呼んだイイホシユミコとの共作「フローロ」の第二作目を発表。第二弾では、イギリス在住の海外アーティストとのコラボレーション作品を紹介する。
<第一弾>
3月29日から4月4日まで
・陶芸家イイホシユミコ × 鹿児島睦によるコラボレーション作品「フローロ ドロップ」
<第二弾>
4月5日から4月11日まで
・鹿児島睦 × ジョン&ジュリアン・セインズベリーによるテーブルウエア
・鹿児島睦 × ドナ・ウィルソン によるクッション・人形・チャーム
■「みんながハッピーでいられるものづくり」が基本
ーー鹿児島さんの大伯父である鹿児島寿蔵さんは紙塑人形の創始であり、人間国宝。そして、その弟にあたるおじいさまは博多人形も作られていたそうですね。
祖父は、国土地理院からの依頼で地形モデルを作ったりしていたんです。ですから、正確に言うと造形作家、エンジニアのような人で、自分で作れるものは何でも作る人でした。そのうちの一つが博多人形でもあったというわけです。
ちょっと異質というか一匹狼で、自分の価値観でいろいろな焼成方や素材、装飾にチャレンジしたり、絵の具でも海外から取り寄せた良質な絵の具を取り入れたりして。戦後にドレスを着た博多人形を作ったり、海外のファッション雑誌を取り寄せてハリウッド女優のドレスを着た人形やマリア像を作ったり、斬新な人でした。祖母からは「おじいちゃんがいたから、あなたたちがいるのよ」とよく言われましたね。
ーーやはり今、鹿児島さんがものづくりに携わられていることは、ご家族から影響を受けた面が大きかったのでしょうか?
私自身は、父が郊外に家を建てたものですから、同じ世代の子どももいないような郡部に住んでいたんですね。家で一人で絵を描いているか泥遊びをしてるか、はたまた近所のおじいちゃんおばあちゃんのところへ行ってお茶を飲んでいるか、というような子どもでした。
兄がいるのですが、今は応用生物学を、わかりやすくいうとがんの研究を行っています。子どもの頃から兄が買ってくる自然科学の本などが身近にあって面白かったですね。飛ばし読みしながら、キーワードだけすり込まれていった感じです。確かに家族からは影響を受けていて、それはいい影響もあれば、わるい影響も…声が大きいとかね(笑)。恵まれていたなとは思います。
ーー“Meets.”をテーマにした今回のプロジェクト。これまでの人生の中で、鹿児島さんにとって大切だったと感じる出会いについて聞かせていただけますか?
強烈で個性的な身内がたくさんいましたので、それが基本だと思いますが、大学を卒業して入った会社、その次のインテリアの物販の会社と合わせて12年ちょっとサラリーマンでしたから、その時にお会いしたお客様、取引先の方々、会社の先輩、同僚、後輩…そういう方々との出会いから学んだところはすごく多いですね。
世界中のいいものをたくさん扱えていましたから、それを見たり触ったり、実際に作っていらっしゃる方からお話を伺ったり、ものを作る上でとても参考になりました。それを踏まえた上で、どういうものを私が作ったら面白がって手にとってくれるかというところで作りはじめましたし、多様性の中の一つ、楽しく使ってもらえる道具として、ものづくりをしようという想いが基本にあります。
ーーサラリーマン時代の経験が今の鹿児島さんのものづくりの姿勢に繋がっているんですね。
素敵なものを販売して、さらに仕入れるためにも売上げを作って、それでもっと面白いものを仕入れるという、ものもお金も回し続ける仕事でしたから、そういう意味で、今も私だけとか、どこかだけがいい状態になるのではなく、手にしてくださる方、メーカー、ギャラリー、セレクトショップ…どこにもストレスがかからないハッピーな状態で、ものとお金の流れを作ろうという意識は強いですね。
私が経験したサラリーマン時代をブランクと言う人もいたりしますが、その辺りのことを学べたので、遠回りでなく近道でしたし、そこは他のものづくりの方たちとは違うところじゃないかなと思います。
>>後半「互いの技術をやり取りして創造した“Meets”、 造形作家・鹿児島睦ー2/2」に続く。
>>暮らしを豊かにする、余白のある器たち。器作家イイホシユミコのMeetsとは?「Meets.-イイホシユミコ&鹿児島睦展」 【INTERVIEW】
【イベント情報】
「Meets.-イイホシユミコ&鹿児島睦展」
会 期: 3月29日~4月11日
会 場: 伊勢丹新宿店本館5階=センターパーク/ザ・ステージ#5
第一弾では、昨年に引き続き、大きな反響を呼んだイイホシユミコとの共作「フローロ」の第二作目を発表。第二弾では、イギリス在住の海外アーティストとのコラボレーション作品を紹介する。
<第一弾>
3月29日から4月4日まで
・陶芸家イイホシユミコ × 鹿児島睦によるコラボレーション作品「フローロ ドロップ」
<第二弾>
4月5日から4月11日まで
・鹿児島睦 × ジョン&ジュリアン・セインズベリーによるテーブルウエア
・鹿児島睦 × ドナ・ウィルソン によるクッション・人形・チャーム