日常が楽しくなる器やプロダクトをかたちにする造形作家、鹿児島睦。2017年は、“Meets.”をテーマに、昨年に引き続き、大きな反響を呼んだイイホシユミコとの共作「フローロ」の第二弾作品「フローロ ドロップ」を展開。また、海外のアーティストとの出会いから生み出したコラボレーション作品を発表する。枠にとらわれない彼のクリエーションの源はどこにあるのか。福岡市内にある事務所を訪ね、その本質にせまった。
■ときに「自分なくしの旅」をしながら
ーーイイホシさんとは2回目のコラボレーションですね。イイホシさんが「今回は日々使うことを考えた器に仕上げました。鹿児島さんのデザインは、かわいくて楽しいだけでなく、人に力を与える絵柄なんです」とおっしゃっていたのが印象的でした。共同製作はいかがでしたか?
こうしたプロジェクトになると、イイホシさんだけでなく、有田のメーカーさん…といっても原型師さんから型屋、写し、鋳込み、窯屋さんまで、いろんな方たちが分業で携わっていて、一緒に作るのがとっても楽しいんです。
前回の「フローロ」
「フローロ」に関しては、職人さんたちの得る金額から決めることができていて、先ほどお話したように、関わっている人たちにストレスがかからないように企画されているんですね。ですから、ベテランの職人さんたちがすごく喜んでくださって、「温泉に行く」とか「孫におもちゃを買ってあげられるのよ」って話しながら、自分たちの持っている技術、経験を惜しげもなく注ぎ込んでくれるんです。ですから、常にブラッシュアップが行われています。
第二弾「フローロ ドロップ」
このツヤのある涙滴型の新作は、前回よりもさらに時間がない中で、結果、イイホシさんも原型から作ってくださって、私も職人さんたちに了解を得て現地に行って彫り直したりしたものなんです。時間の問題じゃなく、うまく行くプロジェクトって水が流れるようにうまく行くものです。
ーー今回は、ジュリアン・セインズベリー、ドナ・ウィルソンというタイプの異なる海外アーティストとのコラボレーションも経験されましたが、いかがでしたか?
ジュリアンとは、友だち夫婦が彼と親しくて、一緒にやれたら楽しいんじゃないって提案してくれたのがはじまりです。イギリスの工房を訪ねて、温かみを感じられる日常使いのものをテーマに、ドラゴン、ライオン、白鳥といった英国の国獣をモチーフにしたテーブルウエアを作りました。
ジュリアン・セインズベリーのイギリスの工房にて
完成したテーブルウエア
ここは職人さんが伝統的な技法で一つひとつ手で作っている素朴なテイストのポーセリンが魅力。日本は技術革新が進んでいるので、こちらの求めるクオリティとジュリアンたちが持っているテクニックとをどこですり合わせるかが鍵でした。お互いの技術のやり取りというのも面白かったですし、そこも“Meets.”でしたね。
鹿児島睦とジュリアン・セインズベリー
ドナのほうは、彼女のかわいくて、面白くて、楽しいデザインというのは昔からよく知っていてファンでしたし、すごく個性的なので、私がどの部分で仕事していいのか役割分担を決めるところだけ時間がかかって、じゃあ私がパターンとシルエットを提供しましょうということになったら、その後はスピーディにやり取りできました。
完成したクッションや人形
クッションや人形、チャームを作る中で、まさかこんなことできないだろうというようなことを彼女は「できたよ」って、いとも簡単にやれてしまったりするんですよ。しかもドナのフィルターでアレンジを加えてやってくれているんですが、そのアレンジ具合もよくて、びっくりしました。
鹿児島睦とドナ・ウィルソン
ーーそのつど楽しみながら、新作やコラボレーションでアウトプットを繰り返されていますが、多忙な日々の中で、ご自身のインスピレーションを高めるような意味での”Meets.”なモノやコトなどを教えてください。
やっぱり日常生活からだと思います。石ころだったり植物のかたちだったり、面白い枝だったり、自然の造形物から発想をもらうのは常なんですけれど、子どもやお年寄りが描いた絵なんかもそうですね。思わず「真似していい?」って聞いたりして(笑)。
海外に行くと、自分が置かれた立場や環境が見えたりもします。それはとても大事なので、見つけるのと同じくらい、見失うこともちょっと努力してやったりしますね。自分探しじゃなくて、「自分なくしの旅」とかよく冗談でいったりしますけれど、やっぱりアウトプットが続くと、インプットが必要になってきますから、ある程度はなくしておいて、もう一回入れ直す。場所と同じく人もそうで、1年に1度会う知人たちもいたりしますし、1年前に考えていた謎がふっと解けたりとか、そういう意味での“Meets.”は日々あるし、大事にしています。
>>前半「鹿児島睦のクリエーション源を紐解く「Meets.-イイホシユミコ&鹿児島睦展」【INTERVIEW--1/2】へ。
>>暮らしを豊かにする、余白のある器たち。器作家イイホシユミコのMeetsとは?「Meets.-イイホシユミコ&鹿児島睦展」 【INTERVIEW】
【イベント情報】
「Meets.-イイホシユミコ&鹿児島睦展」
会 期: 3月29日~4月11日
会 場: 伊勢丹新宿店本館5階=センターパーク/ザ・ステージ#5
第一弾では、昨年に引き続き、大きな反響を呼んだイイホシユミコとの共作「フローロ」の第二作目を発表。第二弾では、イギリス在住の海外アーティストとのコラボレーション作品を紹介する。
<第一弾>
3月29日から4月4日まで
・陶芸家イイホシユミコ × 鹿児島睦によるコラボレーション作品「フローロ ドロップ」
<第二弾>
4月5日から4月11日まで
・鹿児島睦 × ジョン&ジュリアン・セインズベリーによるテーブルウエア
・鹿児島睦 × ドナ・ウィルソンによるクッション・人形・チャーム
■ときに「自分なくしの旅」をしながら
ーーイイホシさんとは2回目のコラボレーションですね。イイホシさんが「今回は日々使うことを考えた器に仕上げました。鹿児島さんのデザインは、かわいくて楽しいだけでなく、人に力を与える絵柄なんです」とおっしゃっていたのが印象的でした。共同製作はいかがでしたか?
こうしたプロジェクトになると、イイホシさんだけでなく、有田のメーカーさん…といっても原型師さんから型屋、写し、鋳込み、窯屋さんまで、いろんな方たちが分業で携わっていて、一緒に作るのがとっても楽しいんです。
前回の「フローロ」
「フローロ」に関しては、職人さんたちの得る金額から決めることができていて、先ほどお話したように、関わっている人たちにストレスがかからないように企画されているんですね。ですから、ベテランの職人さんたちがすごく喜んでくださって、「温泉に行く」とか「孫におもちゃを買ってあげられるのよ」って話しながら、自分たちの持っている技術、経験を惜しげもなく注ぎ込んでくれるんです。ですから、常にブラッシュアップが行われています。
第二弾「フローロ ドロップ」
このツヤのある涙滴型の新作は、前回よりもさらに時間がない中で、結果、イイホシさんも原型から作ってくださって、私も職人さんたちに了解を得て現地に行って彫り直したりしたものなんです。時間の問題じゃなく、うまく行くプロジェクトって水が流れるようにうまく行くものです。
ーー今回は、ジュリアン・セインズベリー、ドナ・ウィルソンというタイプの異なる海外アーティストとのコラボレーションも経験されましたが、いかがでしたか?
ジュリアンとは、友だち夫婦が彼と親しくて、一緒にやれたら楽しいんじゃないって提案してくれたのがはじまりです。イギリスの工房を訪ねて、温かみを感じられる日常使いのものをテーマに、ドラゴン、ライオン、白鳥といった英国の国獣をモチーフにしたテーブルウエアを作りました。
ジュリアン・セインズベリーのイギリスの工房にて
完成したテーブルウエア
ここは職人さんが伝統的な技法で一つひとつ手で作っている素朴なテイストのポーセリンが魅力。日本は技術革新が進んでいるので、こちらの求めるクオリティとジュリアンたちが持っているテクニックとをどこですり合わせるかが鍵でした。お互いの技術のやり取りというのも面白かったですし、そこも“Meets.”でしたね。
鹿児島睦とジュリアン・セインズベリー
ドナのほうは、彼女のかわいくて、面白くて、楽しいデザインというのは昔からよく知っていてファンでしたし、すごく個性的なので、私がどの部分で仕事していいのか役割分担を決めるところだけ時間がかかって、じゃあ私がパターンとシルエットを提供しましょうということになったら、その後はスピーディにやり取りできました。
完成したクッションや人形
クッションや人形、チャームを作る中で、まさかこんなことできないだろうというようなことを彼女は「できたよ」って、いとも簡単にやれてしまったりするんですよ。しかもドナのフィルターでアレンジを加えてやってくれているんですが、そのアレンジ具合もよくて、びっくりしました。
鹿児島睦とドナ・ウィルソン
ーーそのつど楽しみながら、新作やコラボレーションでアウトプットを繰り返されていますが、多忙な日々の中で、ご自身のインスピレーションを高めるような意味での”Meets.”なモノやコトなどを教えてください。
やっぱり日常生活からだと思います。石ころだったり植物のかたちだったり、面白い枝だったり、自然の造形物から発想をもらうのは常なんですけれど、子どもやお年寄りが描いた絵なんかもそうですね。思わず「真似していい?」って聞いたりして(笑)。
海外に行くと、自分が置かれた立場や環境が見えたりもします。それはとても大事なので、見つけるのと同じくらい、見失うこともちょっと努力してやったりしますね。自分探しじゃなくて、「自分なくしの旅」とかよく冗談でいったりしますけれど、やっぱりアウトプットが続くと、インプットが必要になってきますから、ある程度はなくしておいて、もう一回入れ直す。場所と同じく人もそうで、1年に1度会う知人たちもいたりしますし、1年前に考えていた謎がふっと解けたりとか、そういう意味での“Meets.”は日々あるし、大事にしています。
>>前半「鹿児島睦のクリエーション源を紐解く「Meets.-イイホシユミコ&鹿児島睦展」【INTERVIEW--1/2】へ。
>>暮らしを豊かにする、余白のある器たち。器作家イイホシユミコのMeetsとは?「Meets.-イイホシユミコ&鹿児島睦展」 【INTERVIEW】
【イベント情報】
「Meets.-イイホシユミコ&鹿児島睦展」
会 期: 3月29日~4月11日
会 場: 伊勢丹新宿店本館5階=センターパーク/ザ・ステージ#5
第一弾では、昨年に引き続き、大きな反響を呼んだイイホシユミコとの共作「フローロ」の第二作目を発表。第二弾では、イギリス在住の海外アーティストとのコラボレーション作品を紹介する。
<第一弾>
3月29日から4月4日まで
・陶芸家イイホシユミコ × 鹿児島睦によるコラボレーション作品「フローロ ドロップ」
<第二弾>
4月5日から4月11日まで
・鹿児島睦 × ジョン&ジュリアン・セインズベリーによるテーブルウエア
・鹿児島睦 × ドナ・ウィルソンによるクッション・人形・チャーム