各ブックストアがFASHION HEADLINE読者に向けて「今読むべき1冊」をコンシェルジュ。毎週木曜日は、アート・ブックショップ「ナディッフ(NADiff)」各店がオススメする1冊をご紹介。今回は東京・渋谷の支店 NADiff modern(東京都渋谷区道玄坂2-24-1 Bunkamura地下1階)です。
■『芹沢けい介 文様図譜』芹沢けい介(けいは金偏に圭、以下省略)
型絵染(型染)の人間国宝として知られている染色家、芹沢けい介。生涯の師である柳宗悦と沖縄の染物・紅型(びんがた)に出会ったことを契機に、型染めを中心とした染色の道を歩み始める。
型染のすべての工程を一貫して手掛け、その仕事を創造的な領域に高めた。芹沢の模様には、文字、植物、人物、風景など日々見たもの、感じたもの、考えたものがそのまま文様になっているようだ。元々画家志望で幼少時より画才が認められる程の腕の持ち主であり、植物や静物の写生は欠かすことなく生涯続けられ、その丁寧な仕事ぶりは文様の形の細部にも見ることができるだろう。
本書は、彼の創造性豊かな眼を通して形作られた文様図譜が多数掲載されており、“生活の美”を体現している日々の暮らしも紹介されている。芹沢ほど制作に真摯に向き合い、乱れたものを一切許さなかった人は珍しい。文様の大小を問わず、高い品位と完成度を誇る作家の姿がここにはある。
ナディッフ モダンでは、1月31日まで「手仕事フェア」を開催中。“民藝”に関する書籍や、芹沢けい介がデザインした図案を用いた手ぬぐいや風呂敷を紹介している。
【書籍情報】
『芹沢けい介 文様図譜』
著者:芹沢けい介 芹沢けい介美術館(静岡市立) 東北福祉大学芹沢けい介美術工芸館
発行:平凡社
ソフトカバー/128ページ/B5
発刊:2014年9月
価格:税込1,728円
【イベント情報】
「手仕事フェア」
会期:12月26日~1月31日
会場:ナディッフ モダン(NADiff modern)