伊勢丹新宿店では、1月3日から11日まで、日本全国各地の匠の技を紹介するイベント「47都道府県のものづくり-伝統の技、新しい魅力-」を同店本館6階催物場で開催している。
宮城県からは明治期に創業し、工芸品を取り扱うしまぬきの“明かりこけし”が登場。手に持って傾けたり、地震で倒れるとLEDライトが自動点灯するなど、伝統工芸に現代需要が昇華された形で紹介されている。
山形県の「木のあかり」は、組子(くみこ)の技法が採用されたオブジェクトライトを紹介。組子とは木材で直線や幾何学的な模様を組み合わせる日本古来の伝統技術のことで、同社からは青森ヒバ(ヒノキ科)に組子が施された行燈や照明など、実用性とアートの両面を兼ね備えたライトを販売している。
福井県で江戸時代から漆工芸品を手掛ける漆琳堂から紹介されるのは、国産檜と越前漆器の漆と越前和紙が組み合わされた名刺入れ。檜と漆による伝統技術の共演は、シンプルかつ和モダンなデザインとなっている。
佐賀県の嬉野からは、開窯400年以上も遡る肥前吉田焼の陶磁器が登場。この長い伝統にとらわれることなく“新しい価値”を発信しているのは、その土地で生まれたブランド・224 porcelain。同ブランドが提供するカップは、国産牛革のカバーを被せ、飲み物の熱がやんわりと伝わるよう新たな工夫が施されている。また、文庫本サイズの一輪挿しも展開、和室にも洋室にもマッチする花器だ。
このほか、和歌山県の高田耕造商店からは、職人によって1枚1枚採取された棕櫚(しゅろ)の皮から製造される束子(たわし)や、ほうきが紹介されている。このほうきは、最初は畳やフローリングなどの座敷用として、摩耗してきたら土間や玄関に、最後は庭用といった具合に、ライフスタイルに適合する形で使用できるという。