女優・歌手のマレーネ・ディートリッヒ（Marlene Dietrich）は1901年12月27日生まれ。ドイツ出身。

国立ヴァイマール音楽学校に入学してバイオリニストを目指すが、手首を痛めて音楽家を断念。その後、演劇学校に入学し、22年に『ナポレオンの弟』で映画デビューを果たす。30年、映画監督ジョセフ・フォン・スタンバーグ（Josef von Sternberg）に才能を認められ『嘆きの天使』に出演。退廃的な美貌、セクシーな歌声、脚線美で人気となった。同年アメリカに渡り『モロッコ』でハリウッドデビュー。シルクハットに燕尾服という「男装」でセンセーションを巻き起こし、アカデミー主演女優賞にノミネートされた。

1935年を最後にスタンバーグ監督との公私にわたる関係を解消。その後、マレーネを気に入っていた当時のドイツの指導者アドルフ・ヒトラーに、ドイツに戻るよう要請されたがそれを断り、アメリカの市民権を取得した。大戦中には、アメリカ軍兵士の慰問のためにヨーロッパを巡業。兵士の恋人への思いが込められた流行歌「リリー・マルレーン（Lili Marleen）」を歌い、兵士たちを勇気づけた。

50年代からは歌手として世界中を巡業し、75年に引退。92年5月に肝臓と腎臓障害により死去した。死後、ベルリン中心街にある広場が「マレーネ・ディートリッヒ広場」と命名された。現在パリのグランパレで開催中の「カルティエ、スタイルと歴史」展には、マレーネやエリザベス・テイラー、ウィンザー公爵夫人など世界のセレブリティ縁の品々が展示されている。