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ディオール 春夏 2022 オートクチュール コレクションを1月24日現地時間14時45分(日本時間22時45分)開催されました。今回のショーはパリのロダン美術館で行われ、ファブリックの構造を研究し尽くし、オートクチュールコレクションの技巧が余すところなく吹き込まれた壮大なコレクションとなりました。
長さ92.33メートル、高さ13.5メートルの壮大なランウェイにはカリシマ・スワリの監修のもとでチャーナキヤ工芸学校の職人たちが制作したアートが装飾されました。
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ディオール 春夏 2022オートクチュール ショー
頭脳と手技が重奏を織りなすアトリエは楽器であり、実験室でもあります。サヴォワールフェール(ノウハウ)とサヴォワールエトル(技能)が出会い、進化を遂げる生きた組織。そして、妙技と系統的な技法との対話が絶え間なく展開されるコラボレーションの過程、それがオートクチュールです。ディオール ウィメンズ コレクションのアーティスティック ディレクター、マリア・グラツィア・キウリが手がける、2022 春夏 オートクチュール コレクションでは、そうした対話の果実が見事に表現されています。彼女は、人間の手しごとを生み出す感性に畏敬の念を抱いており、芸術と職人技の間の垣根がすべて取り払われることを願っています。人間の身体は、この前衛的なプロジェクトに命を吹き込む触媒の役割を果たすのです。
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刺繍はアトリエの技術とそれ自体の卓越性を再解釈する3次元のコンセプチュアルな作業。ダンスの振り付けのごとく一連の動きを通して進歩する、単なる装飾のディテール以上のものなのです。刺繍が施されることによって、生地に立体感と造形美が生まれます。生地にひときわ映え、美しい対比を演出する刺繍は、他のアイテムとの相乗効果を生み出します。全面に刺繍をあしらったエクリュのロングスカートと、シアーシルクのオーガンザシャツのコンビネーションが見せるコントラストがその一例です。
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本コレクションのシグネチャーであるタイツには、刺繍を用いた見事な立体感が演出され、グリザイユ画法のような色彩があしらわれたグレースーツから、繊細な刺繍と軽量なチュールが融合したイブニングドレス、そしてドレープのかかったレオタードまで、さまざまな作品とのコンビネーションを通じて活き活きとしたコントラストが見られます。マリア・グラツィア・キウリは、このコレクションを通じて、アトリエが継承してきた創造の枠組みと手法を再確認しながら、人間の体をドレスアップするというオートクチュールの本質的な役割へのオマージュとして、研ぎ澄まされたラインが放つ美しさを再提示しています。
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他にも、カシミアのコートは、光沢のあるケープで華やかなホワイトのコンシールジャケットとパンツのアンサンブルのシルエットを引き立てています。 立体的なシルエットのコートと組み合わされたプリーツスカートのボリューム感が目を引くいっぽう、ドレスに用いられているシルバーラメのジャカード生地が、体のあらゆる動きを際立たせます。
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ディオールのヘリテージを再解釈した刺繍の柄はコレクションの中核をなすものであり、絶え間ない挑戦と問いかけの結晶であるオートクチュールを生み出すアトリエを、オートクチュールのルールに従いコラボレーティブな表現様式の場に創り上げるというビジョンが反映されたものです。