「カルヴェン(CARVEN)」は、パレ・ドゥ・トーキョーを会場に15SSメンズコレクションのショーを発表。
郊外の工業地帯出身の男子の物語をイメージ。労働者の生き様を描くのを得意とする、イギリス人映画監督ケン・ローチ(Ken Loach)の作品イメージを借用したという。
周囲には、ガソリンスタンド、サッカーコートのある校庭、集合住宅などがあり、花が咲き誇る自然に飛び込む男子は、決してファッショナブルではなく、ただそこにある服を着ているだけである、というストーリー展開。ファッションの中の、よりピュアな部分を表現し、未来があるような無いような部分から生まれる、独特の美しさをポエティックに見せた。
異素材ミックスのアイデアは、コートやジャケットなど、コレクション全体で見られた。ミニマルなトレンチコートは、張りのある高級素材、ミカドによるもので、丸みを帯びたシルエットを見せる。ハウンドトゥースのコートは工場の制服から着想を得たもので、表に縫いつけた実用的なポケットが特徴的。
“CARVEN”の文字が入ったシャツは、サッカーのハイネックユニフォームからの引用。異素材をリフレクターの様に組み合わせたコートは、作業着のようで新鮮な印象を与える。白、黒、紺、カーキで構成する中、コバルト、あるいは工事用のコーンをイメージさせるオレンジの差し色が強烈な印象を残した。