異質なもの、両極にあるものの融合【ロンドンメンズ最終日1/2】

2015.01.22

デビッド・ベイリーやテレンス・ドノバンと同世代のフォトグラファー、ジョン・バルマーのストリートドキュメンタリー写真スコットランド人ダグラス・ダンの『テリーストリート』からの引用を合わせたモノクロのペーパーが、「E.トウツ(E.TAUTZ)」の今シーズンを語っている。写真の中にいる男たちは、形崩れしたスーツにハンチングで自転車をこぎ、膝下まで届くツイードのオーバーコートにゆったりしたパンツというスタイルで集う。Eトウツのモデルたちも、たっぷりと余裕のある太いパンツに、ツイードやウールツイルの長いコートをまとっている。足元は、かつての労働者階級のはきもの、クロッグ(木)の洗練版(クリスチャン・ルブタン)だ。スーツのジャケットはキャンバス芯なしで仕立てられた上にルーズ気味で、動きやすく柔らかい。フェアアイル柄のニットは、ウエスト部分のリブが長く、締め付けなしでウエストを強調する。60年代と聞いて今の人々が持つイメージとはまた違う、英国田舎町の60年代がラグジュアリーな素材を使って再現された。
E.トウツ 2015-16秋冬コレクション

たっぷりワイドでベルトでぎゅっと絞ったウエストの上にはギャザーができるパンツを、紐で絞ってボディコンシャスにしたTシャツと合わせたのは単独ショー2シーズン目の若手、「クレイグ・グリーンCraig Green)」。ワークウエアをベースにフィットとルーズをひとつのルックの中で融合させている。ジャケットからもパンツからも、機能があるのかどうか不明な紐やテープが無数に垂れ下がり、ワイドすぎるほどワイドなパンツと相まって、そこはかとなく日風な空気もただよわせている。先シーズンのモチーフが旗指物を付けた武者だったブランドだけに、継続するものがあるのだろう。
クレイグ・グリーン 2015-16秋冬コレクション

無数の紐やテープで機能を目隠ししてしまったクレイグ・グリーンとは対照的に、しわにならず動きやすいという機能面を強調するプレゼンテーションを行ったのは「ポール・スミスPaul Smith)」。械体操英国代表チームの一員としてロンドンオリンピックで団体銅メダルを獲得しているマックス・ウィットロック選手とサーカスのメンバーが、ポール・スミスのトラベルスーツを着て、さまざまなアクロバティックな技を披露した。インターバルを挟みつつ2時間のパフォーマンスを行った後でも、スーツにしわは出ていなかったところもお見事。
ポール・スミス 2015-16秋冬メンズコレクション
パースニップス・プレス
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