世界最大規模のメンズの展示会ピッティ・イマージネ・ウオモ87が1月13日から16日、伊フィレンツェで開催された。前回までロンドンメンズファッションウィークと日程が重なっていたが、今回よりスケジュールが調整されたこともあり来場者は大幅に増加。昨年同時期の来場バイヤー総数を15%上回る2万4,000人のバイヤーが訪れた。海外バイヤーの来場者数は昨年同時期の結果を11% 上回る 8,660人で、その内日本人バイヤーは851人(前年同期比102%)と海外バイヤー全体の約1割を占め1位。2位のドイツを上回った。特に昨年同様、天候に恵まれ暖かい日が続き、初日、2日目は各会場の通路が人であふれ、4日間の総来場者は3万5,000人を記録した。
総出展者数は1,200ブランド(ウイメンズのピッティW含め)と前回より大幅に増加しており、「この出展者数の増加こそが今回の来場者の増加に大きく起因しており、今回のピッティは大きな風が我々に吹いていることを示している」とラファエロ・ナポレオーネ・ピッティ・イマージネCEO。長引く景気低迷で市場が低迷しているイタリア国内、スペイン、フランス、ポルトガルなどからのバイヤーも増加していることがメンズマーケットにとっては明るい先行きで、深刻な経済問題を抱えるロシアと政情不安が続くウクライナの2国からのバイヤーが大きく減少したのは予測の範疇。初日に行われたプレス発表でも、今後フローレンス空港の拡充、会場のフォルテッツァ・ダ・バッソの会場内のアクセス整備など積極的な投資を行政が支援していくことも発表された。
日本からは、今回初出展した東京墨田区のニットやレザー、シャツなどのモノづくりから発信している「イキジ(IKIJI)」や、名古屋の有松絞りをドイツからストールやニットセーターで発信する「スズサン(SUZUSAN)」などが、初日からブースに人があふれた。特に欧州のセレクトショップのバイヤーからの注目度は高く、ヴォーグイタリアやフィレンツェのセレクトショップなどがSNSでその場で発信するなど、日本の技術を生かしたモノづくりへは、他の出展ブランドに素材の同質化が顕著なだけに、注目を集めたようだ。また日本メンズファッション協会(MFU)が支援して今回2回目の出展となったとなったエミネント、ジム、永島服飾、フレックスジャパン、モルフォ、ラグラックス信和の6社合同のブースでも、「前回は受注ベースまでは商談が進まなかったが、今回はカナダや中国などからオーダーが入り、成果があった」と出展者の表情も明るいのが印象的。
ピッティの名物となったファションスナップ合戦は以前にも増して激化。しかしながら、イタリアンクラシコで固めた以前からのピッティを支えたサルトリアリスト達は、その加熱さにやや食傷気味からか屋内の各ブースに影を潜め、会場の屋外を歩くのは世界各国からカメラを抱えたスナッパーとブロガーの増加が目立った。