帰るところは子供時代の自分【ロンドンメンズ2日目2/2】

2015.01.18

ナイロンとウールを組み合わせたボマージャケットやナイロンのキルティングベストを見せた「ルー・ダルトン(Lou Dalton)」だが、そこは女性デザイナーらしく、どこかかわいい雰囲気のコレクションとなっていた。コートにコートを重ねたり、テーラードジャケットにキルティングのベストを重ねたりと、レイヤードにもひとひねり入れ、黒とネービーのコーディネートにサーモンピンクで軽やかな明るさをプラスした。
ルー・ダルトン 15-16AWコレクション

ファッションデザイナーは大概、子供の頃から服を作ろうとしてみたり服の絵を描いてみたりしているものだが、「アギ&サム(AGI & SAM)」のアギはなんと、4歳で「クールマン」というタイトルのコレクションをデザインしたという。今シーズンのアギ&サムは、その「クールマンコレクション」を原点とした、子供ならではの発想や解釈を生かしたコレクションとなっている。デザイナー両名が卒業した小学校にそれぞれ協力を依頼し、小学生たちが実際にほしい服、洋服にあったらいいなと思う要素を調査、その結果をベースに、服をいったん解体して、再構築して見せた。洋服のピースはばらばらにされてパズルのように組み合わされ、パーツによっては面ファスナーでつないで別の組み方もできるようになっている。その結果、テーラードジャケットの前身頃がパーカの後ろ裾に変身し、左右で着丈の異なるジャケットには肩あたりに大きな穴が開いている。コートでは、表生地と裏地が縦横にパッチワークされている。パッチワークに用いた原色のプリントは子供たちに自由に塗ってもらった塗り絵をベースとし、黒やネービーをメインカラーとするコレクションに明るさと楽しさを加えている。
アギ&サム 15-16AWコレクション

子供の頃の思い出には違いなくとも、幼児の頃ではなく中学生ぐらいのころに戻ってみたのは「シブリング(SIBLING)」。反抗期を迎えた子供達らしく、制服を改造したりパンクを気取ってニットに穴を開けてみたりした経験をベースにしたコレクションだ。ネクタイにはラインストーンが乗り、マフラーはラテックスとニットのコンビネーションとなる。だが、中学生はまだまだ子供。ティティベアとも仲良しだったりする。というわけで、ニットやファーで作った巨大ティディベアを抱いたモデルが登場し、スクールユニフォーム風のジャケットにも小さなティディベアが乗っている。キーカラーは、今やシブリングのシグネチャーカラーである鮮やかなピンク。
シブリング 15-16AWコレクション

ファッションイーストの支援の下、久々にショーを行った「ショーン・サムソン(SHAUN SAMSON)」。秋冬なのに半袖やショーツが多数登場しつつ、ファーのスカーフや手袋で暖かさを加えた。シャツやジャケットにチェック柄をあれこれ用い、スローガン入りエプロンも乗せて独特の雰囲気を作り出している。
ショーン・サムソン 15-16AWコレクション

1689年創業のテーラー、「イード&レーブンスクロフト(Ede & Ravenscroft)」のコレクションは、貫禄たっぷりの上質なクラシック。軍服をベースとしたラインにはディテールまで軍服風が取り入れられ、カントリー風なツイードスーツも、エレガントなスリーピースとなってボウタイが合わせられている。「いいスーツ」という言葉をそのまま形にしたような、けれん味のなさが老舗ならでは。

これもクラシックなスーツを、アウトドア風にアレンジしたのは「ハーディ・エイミス(Hardy Amies)」。英国カントリーサイドの秋の色を並べたカラーパレットで、ツイードのスーツにパーカを合わせたり、スーツにニットキャップとマフラーをコーディネートして、カジュアル感を出している。イブニングウエアではネービーのディナージャケットを見せ、黒ではなくネービーのディナージャケットを愛用した創業者、サー・ハーディ・エイミスへの敬意を示した。
ハーディ・エイミス 15-16AWコレクション
パースニップス・プレス
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