東京都写真美術館が主催するアートと映像のアニュアルフェスティバル「恵比寿映像祭」が、2月27日から3月8日の10日間にわたって開催される。第7回を迎える今回は「惑星で会いましょう」をテーマに、80人を超す国内外アーティストたちが展示・上映・ライブ・セッションなどを繰り広げる。
2009年より「東京文化発信プロジェクト」の一環として開催されてきた恵比寿映像祭。今年はホームベースとなる東京都写真美術館の改修休館に伴い、メイン会場を恵比寿ガーデンプレイス内施設へと移し、周辺地域13ヶ所の文化施設およびギャラリーと連携する大フェスティバルとなった。
最大のみどころは国際色豊かなプログラムの数々。注目すべきは、昨年のターナー賞受賞者であるダンカン・キャンベル(Duncan Campbell)の参加だ。受賞作品「他のものたちに」「バーナデット」が上演される他、国際的に活躍するパヴェウ・アルトハメル(Pawel Althamer)や、注目の若手ライアン・トラカートゥン(Ryan Trecartin)らの作品も見逃せない。
一方では、国内アーティスト陣も華やかな顔ぶれを見せた。日本を代表する写真家ホンマタカシが人間に内在する「野性」にフォーカスした新作インスタレーション「最初にカケスがやってくる」を発表する他、恒例のオフサイト展示では、新進映画監督・瀬田なつきによる街を舞台にした短編映画シリーズ「5windows」より、新作2本を加えた計7作品が点在する会場で上映される。作家が提起する、リアルタイムな「場所」を起点とした映像体験に期待が高まる。
その他、名作アニメ映画『AKIRA』など稀少な35mmフィルムによるSF映画の爆音上映決定、現在のメディアに大きな影響を与えた雑誌『ホール・アース・カタログ』に焦点をあてたYebizoラウンドテーブルの開催、各会場を緩やかに結ぶガイドツアーやスタンプラリー実施など、意欲的なプログラムが多数組まれた。
人工衛星のとらえる世界中の映像がリアルタイムで配信され続ける現在、細分化した映像情報へのアクセスは容易化する一方で、複層化の一途をたどる世界の全貌を捉えることはもはや困難となりつつある。この現状を前にし、今回の映像祭は「視点を変える」ことをキーワードに据えた。新たな視点で世界を探索し直すきっかけを与える”映像”を、世界を再発見するための観点をもたらす”アート”の側面から提示し、この世界への今日的なアクセス方法を、「未知の惑星を訪れるように」新鮮な気持ちで探ってみようと提案している。
【イベント情報】
第7回恵比寿映像祭「惑星で会いましょう」
会場:ザ・ガーデンホールおよびザ・ガーデンルーム(1)
日仏会館ホールおよびギャラリー(2)
恵比須ガーデンプレイスセンター広場
地域連携プログラム参加施設およびギャラリー(各所)他
住所:
(1)東京都目黒区三田1-13-2恵比須ガーデンプレイス内
(2)東京都渋谷区恵比寿3-9-25
会期:2015年2月27日から3月8日
時間:10:00から20:00(3月8日は18:00まで)
休館日:会期中無休
料金:入場無料(定員制の上映プログラム、イベント等については有料)