昨年に続き、PUMAとのコラボレーションでアートを身にまとえるTシャツを発表したスポークン ワーズ プロジェクト(spoken words project)のデザイナー飛田正浩に、ファッションとの向き合い方を訊いた。1/2はこちら。
■アウトプットしてゆくことの意義
ーーPUMAとの第2弾コラボレーションでは、1点もののスニーカーに加えて、「ewokiru」をテーマにしたTシャツを発表されましたね。
1点として同じものがないアートを履いて、着る。PUMAのようなグローバル企業がそれを手がけることに意義があると思うんです。アートの世界には、アーティストとの間にギャラリストがいて、道に落ちている石ころが3億円になってしまうマジックが生まれたりする。PUMAのような大きな船と僕たちみたいなブランドが取り組む面白さって、ある意味それに共通すると思うんです。オジさんになったからもう言ってもいいと思うんですけど(笑)、アパレルビジネスの常識ではあり得ないことをやって、新しい価値観を提案していく。そのことに今、使命感のようなものを抱いています。
アトリエには、PUMAとのコラボレーションでアートを身にまとえるTシャツも
ーー他にも伊勢丹新宿店のTOKYO解放区で行ったオリジナル制作のワークショップを始め、いろんな形でもの作りの面白さを発信されていますね。
今もうひとつ「3min. by spoken words project」という新しいブランドも作っているんです。生地と型紙がBOXに入っていて、経験もミシンもなくても、手縫いで服が作れる。TV番組の「3分クッキング」くらい、気楽に洋服作りを楽しめるキットです。ワークショップもそうなんですけど、よく根幹でもある”技法”をそんなに簡単に教えてしまっていいの?と聞かれるんです。でも、僕の中ではむしろ、どんどん発信していかないと逆にヴィヴィッドさ、フレッシュさを失ってしまうという危惧がある。きっとそうすることで、自分自身も新たな価値観を開拓しているんですよね。
手縫いの楽しさを教えてくれる「3min. by spoken words project」も始動
あと去年から、週1回のペースで東京造形大学の学生たちに教えています。それこそ、家庭を持ったことや震災をきっかけに、自分の手の内にしろ何にしろ、伝えていかなければならない段階なのではと考えが変わりました。みんなまったく新しい発想から取り組んでいて、教えつつも反対に学生たちからファッションの多様性を学んでいたりしています。あと、彼らに「(自由で)いいんだよ」って伝えてあげられる面白さ。ゲームでも介護の視点でもいい。ファッションって本当に、まだまだ進化する可能性があると思うんです。
ーーコレクションラインには新たなチャレンジが何かありますか?
去年の秋冬に続き、阿部公房の小説『砂の女』をテーマに考えています。ここ数年取り組んでいる「山形ビエンナーレ」でも作品を発表する予定で、10月の東京コレクションと同時進行。自分でもどんな洋服に仕上がるか楽しみにしています。芸術祭の参加や、あと少しずつ形になってきている海外での展開も、5年ほど前の自分が熱望していたことだったりするんですよね。でも、ガムシャラな時はその願いにきっと近すぎて、少し俯瞰で見られるようになると自然と向こうから近づいてくる。冷静になることで、少しずつ作品の強度が増すんだと思います。そうして叶った頃には、自分はまたその先に向かっている。ファッションって良い意味で、これからどうなるんだろうっていう時期にあると感じているんです。どう時代を読み解くのかが、アパレルの現場でも重要になってきている。だからこそ、僕は世にないものを作って、“新しい価値観”を問い続けていきたいです。
【イベント情報】
「アートを着る。~spoken words project×PUMA~」
会期:6月8日から6月14日
会場:伊勢丹新宿店本館2階=センターパーク/TOKYO解放区
手作業を活かした染めやプリントを得意とするスポークンワーズプロジェクト(spoken words project)が、「アートを着る。」をテーマにPUMAとコラボレーション。1点ものの「ewohaku(絵を履く)」スニーカーと、「ewpkiru(絵を着る)」Tシャツを主軸に、夏のスポーティーなスタイリングを「アート」に昇華させてTOKYO解放区より発信する。
■アウトプットしてゆくことの意義
ーーPUMAとの第2弾コラボレーションでは、1点もののスニーカーに加えて、「ewokiru」をテーマにしたTシャツを発表されましたね。
1点として同じものがないアートを履いて、着る。PUMAのようなグローバル企業がそれを手がけることに意義があると思うんです。アートの世界には、アーティストとの間にギャラリストがいて、道に落ちている石ころが3億円になってしまうマジックが生まれたりする。PUMAのような大きな船と僕たちみたいなブランドが取り組む面白さって、ある意味それに共通すると思うんです。オジさんになったからもう言ってもいいと思うんですけど(笑)、アパレルビジネスの常識ではあり得ないことをやって、新しい価値観を提案していく。そのことに今、使命感のようなものを抱いています。
アトリエには、PUMAとのコラボレーションでアートを身にまとえるTシャツも
ーー他にも伊勢丹新宿店のTOKYO解放区で行ったオリジナル制作のワークショップを始め、いろんな形でもの作りの面白さを発信されていますね。
今もうひとつ「3min. by spoken words project」という新しいブランドも作っているんです。生地と型紙がBOXに入っていて、経験もミシンもなくても、手縫いで服が作れる。TV番組の「3分クッキング」くらい、気楽に洋服作りを楽しめるキットです。ワークショップもそうなんですけど、よく根幹でもある”技法”をそんなに簡単に教えてしまっていいの?と聞かれるんです。でも、僕の中ではむしろ、どんどん発信していかないと逆にヴィヴィッドさ、フレッシュさを失ってしまうという危惧がある。きっとそうすることで、自分自身も新たな価値観を開拓しているんですよね。
手縫いの楽しさを教えてくれる「3min. by spoken words project」も始動
あと去年から、週1回のペースで東京造形大学の学生たちに教えています。それこそ、家庭を持ったことや震災をきっかけに、自分の手の内にしろ何にしろ、伝えていかなければならない段階なのではと考えが変わりました。みんなまったく新しい発想から取り組んでいて、教えつつも反対に学生たちからファッションの多様性を学んでいたりしています。あと、彼らに「(自由で)いいんだよ」って伝えてあげられる面白さ。ゲームでも介護の視点でもいい。ファッションって本当に、まだまだ進化する可能性があると思うんです。
ーーコレクションラインには新たなチャレンジが何かありますか?
去年の秋冬に続き、阿部公房の小説『砂の女』をテーマに考えています。ここ数年取り組んでいる「山形ビエンナーレ」でも作品を発表する予定で、10月の東京コレクションと同時進行。自分でもどんな洋服に仕上がるか楽しみにしています。芸術祭の参加や、あと少しずつ形になってきている海外での展開も、5年ほど前の自分が熱望していたことだったりするんですよね。でも、ガムシャラな時はその願いにきっと近すぎて、少し俯瞰で見られるようになると自然と向こうから近づいてくる。冷静になることで、少しずつ作品の強度が増すんだと思います。そうして叶った頃には、自分はまたその先に向かっている。ファッションって良い意味で、これからどうなるんだろうっていう時期にあると感じているんです。どう時代を読み解くのかが、アパレルの現場でも重要になってきている。だからこそ、僕は世にないものを作って、“新しい価値観”を問い続けていきたいです。
【イベント情報】
「アートを着る。~spoken words project×PUMA~」
会期:6月8日から6月14日
会場:伊勢丹新宿店本館2階=センターパーク/TOKYO解放区
手作業を活かした染めやプリントを得意とするスポークンワーズプロジェクト(spoken words project)が、「アートを着る。」をテーマにPUMAとコラボレーション。1点ものの「ewohaku(絵を履く)」スニーカーと、「ewpkiru(絵を着る)」Tシャツを主軸に、夏のスポーティーなスタイリングを「アート」に昇華させてTOKYO解放区より発信する。