ブランド40周年の集大成、ミラノの「アルマーニ / シーロス」訪問記

2015.12.18

百聞は一見に如かず。ファッションの世界は特にそうだ。服を見たことない人に言葉を尽くして説明するのは至難の技だ。ファッションの仕事をしていると、読んだだけで大方の予想はつくようになるが、やはり自分の目を信じたく、できる限り出かけて実際に見るようにしている。

アルマーニ / シーロスを見に行くモチベーションとなったのは、今年80歳となったジョルジオ・アルマーニがブランドを立ち上げて40周年を迎え、集大成といえる資料館をオープンさせたと聞いたからだ。ミラノ万博のオープニングに、アンバサダーとしてショーを開き、同時にこのアルマーニ / シーロスもオープンしたのだ。

1975年に創設されたジョルジオ アルマーニが、日でその名を聞くようになったのは、78.79年の頃だった。イタリアン・ヴォーグに掲載されたアビエータージャケットを見たとき、サンローランとは違うメンズウエアへのアプローチが新鮮で、新しい時代の到来を感じさせた。

40年の間にはメンズ、レディース共に年に2回ずつのプレタポルテコレクション、2005年からオートクチュールラインのジョルジオ アルマーニ プリヴェを年2回発表している。その全てが、このシーロスの中に保管されているというのだ。

シロスとは干し草など食料を貯蔵するサイロの意味。総面積4500平方メートル、4階建ての建物は、無機的なテクスチャーで整然とした四角い展示スペースは中央に正方形の吹き抜けがあり、最上階からこの吹き抜けを見ると各階4つのパートの様子が見えるデザインになっている。スペースごとにテーマがあり、デイウエア(昼間の服)、中国や日本をテーマにしたエキゾティズム、アルマーニ・カラーと誰もが認めるニュアンスのある色のカラースキーム、ビーズや刺繍レースをふんだんに使ったドレスを中心にしたルーチェ(光)と呼ばれるスペースが展開する。ヨーロッパ式にいう0階(日本では1階)には、カフェギフトショップがあり、最上階のデジタルアーカイブスペースでは、全てのランウェイショー、アルド・ファライによる美しい広告写真やアルマーニを纏ったセレブリティなど1570点の写真の他、スケッチやデッサン画、アクセサリーなどの資料、アルマーニの全てを知ることができる。さらに、ワークショップが開けるスペースもあり、ファッションはいうまでもなくアートを志す人たちが自由に利用できるような施設もある。

イタリアを代表するデザイナーとしての文化的な役割と後進を育てるための役割を、このシーロスに担わせることがアルマーニの使命でもあるのだろう。


■information
ARMANI/SILOS(アルマーニ / シーロス)
住所:Via Bergognone 40 Milano
開館:火曜、水曜、金曜、日曜 11:00~20:00
    木曜、土曜 11:00~22:00 
休館:月曜
入場料:12ユーロ
Yuri Yokoi
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