12日、東京丸の内に三越伊勢丹ホールディングスの新業態となるメンズファッションセレクトストア・イセタンサローネ メンズ(ISETAN SALONE MEN’S)がオープンした。以前、「バーバリー丸の内店」のあった新東京ビル1階で、売り場面積は約900平米。品ぞろえの全体の6から7割が春物で構成されている。
日本家屋をイメージした空間構成で店舗デザインはストラスブルゴやキートンなどのメンズストアでの経験豊富なデザイナー・辻村久信が担当。同氏の手掛けた店舗としては過去最大規模で、現代の素材とテクノロジーを融合し「和魂洋才、優雅さと合理性」が追求された。
白木の什器や和紙、洗い出しの床など木、紙、土と日本の伝統的な自然な質感を生かした内装で、江戸の粋を京都の素材と職人技で仕上げられている。
日本家屋の庭が想定されたエントランス付近には、ニコライ・バーグマン(Nicolai Bergman)のフラワー、フレグランスやコスメ、スキンケアなど水と植物などのイテムを集積することでさながら池のように動きを与えている。また、茶の湯の待ち合いのエリアにはフォーナインズ(999.9)の眼鏡の売り場を配し、帽子と共に丸の内エリアで最大レベルとなる品ぞろえで充実を図っている。
その脇には茶室を想定したスペースにはジャン=ポール・エヴァン(JEAN-PAUL HEVIN)が新形態となるチョコレートバーを出店。世界で初となるミルクを使わず水で作るショコラショもこの店だけで飲むことが出来、“ビター”なメンズストア対応を図り、この店舗でしか体験できない”ティータイム”を提案。
店舗奥のビジネスゾーンは蔵の位置づけで、オーダーカウンターには杉の無垢材に平瓦、床はハンドフックの小紋のラグ、壁には金箔や砂子を施した手漉き和紙などさながら銀座の高級寿司店を思わせる仕掛け。シューズやシャツなど、レディスに比べ圧倒的に豊富なMDが整理されて見やすい環境で提案されている。
離れを想定したカジュアルゾーンはガラスを用いた光環境で、トム ブラウン ニューヨーク(THOM BROWNE. NEW YORK)、メゾン マルジェラ(Maison Margiela)、マーク ジェイコブス(MARC JACOBS)、ディースクエアード(DSQUARED2)、メゾン キツネ(MAISON KITSUNE)、日本のブランドではビズビム(visvim)、エヌ. ハリウッド アンダーサミットウエア(N.HOOLYWOOD UNDER SUMMIT WEAR)、コーネリアン タウラス バイ ダイスケ イワナガ(CORNELIAN TAURAUS BY DAISUKE IWANAGA)の代表的なアイテムが並び、新宿店メンズ館のダイジェスト版といったブランド構成。
通りに面したファサードは、鉄を葉の形に切り出し溶接した鉄骨のオブジェがショーウインドーを飾り、垣根を想定。帽子のディスプレーには京都の西山の枝をアクリルに封入した什器で、庭の植栽を想定するなど日本家屋の構造様式が徹底されている。
*次回は辻村久信氏、大西洋社長などのインタビュー
Text:野田達哉