14年に発表されたハナエ モリ(Hanae Mori)の新ライン、ハナエモリ マニュスクリ(HANAE MORI manuscrit)が、伊勢丹新宿店限定でいち早くデビュー。同店本館4階で9月16日から22日の期間限定ポップアップストアを展開し、オリジナルのデジタルデザインアプリケーションを使ったセミオーダーシステムによる受注販売も開始する。
同ブランドは、東京コレクションで活躍するデザイナー・天津優を迎え、新たなターゲット層に向けて始動。客層の年代変化によりプレタポルテの需要も変わり、また法律改正で働く女性の中でも管理職など立場ある役職に就く人たちが増えていることから、若い感性を持つ40から50代の女性に向け、グレードに見合う感度の高い服を展開していく。デビューにあたっては、プライスラインやアイテムバランスを研究し、ニュアンスカラーを明るくするなど内容にとことんこだわったという。
ポップアップストアのオープンに合わせて採用した受注システムは、デジタルファッション株式会社と共同開発されたアプリケーション「DIGITAL COUTURE HANAE MORI×DIGITAL FASHION LTD.」を使ったもの。店頭にあるiPadで事前にデータ化された同ブランドオリジナルのプリント柄やパターンを自由に選び、自分の好みに沿ったデザインを作成して世界でたった一着だけのオリジナルが作れる“次世代クチュールシステム”だ。iPad上で指を使ってプリントサイズも変更でき、あらゆる大きさ、角度の微調整が可能で、服を纏った画面上のアバターをモーションさせたり、ストップさせたりしながら、いろいろな角度からデザインを確認することができる。オーダー後は約1カ月半で商品が届くという。
受注を受けるのは、ワンピース2型(シルク 18万円、サテン 12万円)、ブラウス2型(シルク 7万円、コットン 6万5,000円)、パンツ1型(9万5,000円)の計5型。グラフィックパターンは5種類を用意した。
「ハナエモリは日本で初めてのオートクチュールブランドとして、常に新しいものを取り入れてきた。今の時代に合ったものを取り入れたかったというのが、アプリを使った受注システムを取り入れた理由。インターネットで洋服を手軽に購入できる時代だが、店頭でお客様と接しながらアプリを使った提案をしていきたい。デジタルとクチュールの出会いに直に触れてもらえれば」と、ブランド担当者。
画面の中で想像したデザインを、デジタルテクノロジーとアナログテクニックを融合させた形で具現化する時代が到来した。このハイブリットな取組みにいち早く着手したのが、長きに渡りファッション界で活躍するハナエモリの新ラインであるという点も感慨深い。