神戸ファッション美術館で新春特別展示。阪神・淡路大震災と戦後の阪神、2視点でファッションを読み解く

2014.12.15

神戸ファッション美術館は二つの展覧会、「衣服にできること-阪神・淡路大震災から20年」「1950-70年代の阪神間スタイル」を同時開催する。期間は1月17日から4月7日。

「衣服にできること-阪神・淡路大震災から20年」では、被災者の心身を守ることに重点を置いたファッションの紹介が行われる。家をなくしてしまったとき、人を最後にプロテクトするのは服になる。このコンセプトの元に、デザイナーの津村耕佑が手掛けるブランド「ファイナルホーム(FINAL HOME)」。更に、衣服造形家の眞田岳彦が被災者の心をケアする目的で立ち上げた「Prefab Coat」シリーズから、新作となる「Prefab Coat Rice KOBE」などが出展。阪神・淡路大震災からの復興支援を目的に、95年に東京神戸で開催されたファッションショーからも、大田記久やカステル・バジャック(CASTELBAJAC)、藤ハルミらの作品が出品される。

また、1月24日には学芸員がリレートーク形式で震災を語り継ぐイベント、「阪神・淡路大震災20年・語り継ぐこと/リレートーク vol.2ファッションとアートの繋がり」が開催される。その他、トークイベントでは2月8日に眞田岳彦をゲストに招き、「心を繋ぐ衣服と伝統文化」を予定。3月15日には、津村耕佑によるワークショップ「繋げてつくろう!わたしだけのスペース」が開かれる。

一方、「1950-70年代の阪神間スタイル」では、アイビー、ミニスカート、ヒッピー、フォークロアなど、戦後の大阪や阪神に芽吹いた数々のムーブメントに注目。オートクチュール技術との出会い、「ヴァン(VAN)」をはじめとする男性衣装、帽子といった小物などをテーマに、当時のファッション界やライフスタイルを回顧するような衣類や資料が出展される。田中千代や原田和枝、上田安子、石津謙介、コシノヒロコといった、この地を代表するデザイナーの作品にも注目だ。

関連トークイベントは3月28日を予定しており、テーマは「阪神間の洋裁文化の形成」と「大阪から発信したVANの創業期から現在」。ワークショップ「50's-70'sファッションをシルクスクリーンでプリントしよう!」は、2月22日に開催される。


【イベント情報】
特集展示「衣服にできること-阪神・淡路大震災から20年」
特別展示「1950-70年代の阪神間スタイル」
会場:神戸ファッション美術館
住所:兵庫県神戸市東灘区向洋町2-9-1
会期:1月17日から4月7日
時間:10:00から18:00(入館は閉館の30分前まで)
入場料:一般500円 学生、65歳以上250円
休館日:水曜日(2月11日は開館)、2月12日
HEW
  • 「衣装にできること」より、眞田岳彦「Prefab Coat Rice 2008」 撮影:田代泰三 sanada studio inc.蔵
  • 「衣装にできること」より、「FINAL HOME 2014」 Graphic CG:Yusuke shono  photo:Tada(Yukai) FINAL HOME蔵
  • 「衣装にできること」より、「FINAL HOME “HOME1”LONG COAT」 FINAL HOME蔵
  • 「衣装にできること」より、藤本ハルミ「カクテル・ドレス」 1994年頃 個人蔵
  • 「衣装にできること」より、比嘉京子「デイ・スーツ」 1995年 神戸ファッション美術館蔵
  • 「1950-70年代の阪神間スタイル」より、田中千代「疋田絞りイヴニング・ドレス 1962年 専門学校 田中千代ファッションカレッジ蔵
  • 「1950-70年代の阪神間スタイル」より、クリスチャン・ディオール「ESIGNED BY DAIMARU OSAKA」 コート/1954-55年 上田安子服飾専門学校蔵
  • 「1950-70年代の阪神間スタイル」より、原田和枝「ツーピース/1960年頃」 武庫川女子大学蔵
  • 「1950-70年代の阪神間スタイル」より、「ワンピース、ホットパンツ」 1970年頃 大江瑞子蔵
  • 「1950-70年代の阪神間スタイル」より、VAN(VANJACKET)「マドラス・カーディガン」 1963年 ピンク・スラックス KENT(VANJACKET)/1967年神戸ファッション美術館蔵
  • 「1950-70年代の阪神間スタイル」より、学校法人 田中千代学園 創立35周年記念ポスター用写真 1967年 撮影:細江英公 専門学校 田中千代ファッションカレッジ蔵
  • 「1950-70年代の阪神間スタイル」より、「クラブ ラブ乳液」 1958年 株式会社 クラブコスメチックス蔵
  • 「1950-70年代の阪神間スタイル」より、マキシン「サチュネ・トーク帽」 1950年頃 株式会社マキシン蔵
ページトップへ