■キッズウエアでも、機能性とデザインの美しさを追求
ブランドを設立した2002年から、ずっと高柳さん本人がマスターパターンを引いているという同ブランド。「僕自身が型紙を引いているというところが、ブランドの強みかもしれません。デザインを複雑にすればするほど、型紙が複雑になり辻褄が合わないことも。かといって、デザインが全くないのもつまらない洋服になってします。だから、いつもいい着地点を探している」という。機能性とデザインの美しさを追求する姿勢は子供服にも込められている。例えば、大きなチェーン柄テキスタイルの美しさが引き立つよう、背中にはわずかにダーツが施されるのみ。また、素肌に触れる部分にストレスがないようにという配慮から、ポロシャツのバックネックにはブランドタグはなく、パンツに被る腰の部分に品質表示と共にタグが付けられている。この気遣いが着る人がリラックスしてファッションを楽しめる機能と美しさにつながる。
大人用と全く同じ環境で生み出さる同ブランドのキッズウエアは「キリュウキリュウのキッズウエアを着て歩いてくる子供とすれ違った人が『こんな子供服があるんだ!』と思ってもらえるような生意気な子供服を目指している」という。そして「嬉しかったのは七五三用に3ピースを購入して下さった方のところに、兄弟や親戚だけでなく、近所の方からもその3ピースを借りにきてくれたというエピソードですね」と笑う。
自身の物づくりの姿勢について尋ねると、「顧客がメインのブランドなので、キリュウキリュウらしさがぶれないようなさじ加減、顧客が好きなテイストをどう今の時代に落とし込むかと考えながら作業している」と返ってきた。きっと、この顧客の声にならない要望に真摯に応えようという思いが、大人と同じクオリティーの洋服をストレスなく着てもらいたいというキッズウエアの姿勢につながっているのだろう。
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