シューズブランド「リーガル(REGAL)」から、レディースの新コレクション「プレミアムライン」がこの春デビューする。素材と製法、そして長きにわたり受け継がれるクラフトマンシップがしっかりと結びついた“メイド・イン・ジャパン”の結晶とも言えるラインだ。その背景には、長年の靴作りで得られた日本人の足に関するノウハウによる緻密なデザインと製法のプロセスがある。
注目すべきは、メンズシューズで確立された「グッドイヤー・ウェルト製法」と「マッケイ製法」というオーセンティックな手法を、エレガントなレディースシューズへと昇華したことだ。
プレミアムラインの中で注目なのは、グッドイヤー・ウェルト製法で作られた「F01F」と、マッケイ製法による「F05F」。F01Fはリーガルの技術を集結させたデビューコレクションを象徴するシューズ。アッパーには光沢感のある上質なレザーを採用し、メンズの要素を取り入れつつも、女性の足を考慮した柔らかさを実現。マッケイ製法によるF05Fは、シャープなロングノーズのデザインで、スマートな印象を強調している。レザーの艶やサイドに映る陰影にもこだわり、都会的に洗練された存在感を放つ。
グッドイヤー・ウェルト製法は、イギリスの高級シューズブランドが採用していることで知られており、コバ(ソールの縁)に縫い糸が見えるのが特徴。ソールの内側にコルクを仕込むことで履けば履くほど足に馴染む製法だ。頑丈で安定した履き心地を実現することができる一方で、完成までに非常に手間がかかるため、国内生産でこの製法を取り入れているブランドはレディースシューズでは数少ない。またリーガルでは純正パーツでの交換が可能で、気に入ったシューズを長年履き続け、履き心地と経年変化による味わいを楽しむことが出来るのも魅力の一つだ。
マッケイ製法は、ダイレクトに甲革とソールを縫いつけるのが特徴で、イタリアンシューズに多く取り入れられている。構造がシンプルな分、返りがよく軽い仕上がりとなる。グッドイヤー・ウェルト製法ほどの耐久性はないが、デザイン性、ファッション性を高いレベルで追求できることが利点。スマートでシャープなルックスに仕上がるのも特徴だ。
リーガルからこの春にデビューするプレミアムラインには、これらの本格的なレザーシューズの製法をレディースのシューズに採り入れるための工夫が散りばめられている。「女性の足は男性よりも骨格が柔らかく、幅が狭く厚みのない特有のシルエットがあります。そのため、プレミアムラインでは、ブレを押さえるためにタイトに設計した踵に加え、甲のシェイプや返りの良さを追求しました。さらに、メンズシューズには使われていないソフトベンズを採用し、足あたりの良さにもこだわっています」と、リーガルの担当者は語る。
更に、既存の「レギュラーライン」にも新しい変化が。今シーズンは、女性の足をより華奢に見せるためにシャープな木型を用い、高いデザイン性と機能性を両立している。足の甲を流れるように美しく表現するアシンメトリーなカッティングのパンプス、トレンドのカラーソールを採用したレースアップシューズや、スポーティーな要素をプラスしたレザースリッポンなど、アーティスティックな美しさが際立つ豊富なラインアップに仕上がっている。シンプルなスタイルにもフィットする独特の存在感があり、素材の組み合わせ、絶妙なボリューム感など、ディテールにもそれぞれ見どころがある。
女性にとって「靴」とは、ただ単に歩くためだけのものではなく、時に自分を表現するためのジュエリーにもなる。トレンドだけを追求するのではなく、自分の足により馴染み、そして長い時間を共にできる“人生のパートナー”となるようなシューズを探してみるのも、靴選びの醍醐味だ。