ドイツ・ベルリンで7月8日から10日までの3日間に渡りエシカルファッションの見本市が開催された。
5年前よりスタートした同見本市は、カジュアルなストリートファッションを見せる「エシカル ファッションショー・ベルリン」と、ビジネスやパーティー用のハイファッションを見せる「グリーンショールーム」から構成。今回で10回目の開催を迎え、ベルリンのファッションシーンでは、既にエシカルファッションは馴染み深いものとなっている。その実態について分析をするため、メッセフランクフルトの担当者・ベルント・ミュラー(Bernd Muller)氏に、見本市の概要やエシカルファッションの状況についての話を聞いた。
2014年の「エシカル ファッションショー・ベルリン」には91組のブランド、そして「グリーン ショールーム」には33組のブランドが参加した。世界18ヶ国から参加があり、ドイツや周辺国であるオランダやスイスからの参加が目立つ。開催地から近い都市に拠点を構えるブランドが多い中、インドやブラジル、アメリカといった遠方からの参加もあった。
参加ブランドは、ウィメンズウエアが圧倒的に多い。ユニセックスウエアも含めると、7割近くを占めているという。残りの3割にはメンズウエアを始め、鞄、靴、アクセサリーがあり、商品は多様性に溢れていた。
来場者の数は公式に発表されていないが、ミュラー氏によれば、昨年は2展合わせて約3,000人が来場。内訳はバイヤー、取材関係者、一般入場者と、いずれも約1,000人ずつで、取材関係者の多さが際立つ。これは、世界各国でのエシカルファッションへの注目が高まっているという事が伺える。
また、同見本市では、ファッションショーなどのイベントも開催しているが、特に人気が高まったのは、専門家などが講演を行うセミナーだ。つまり、エシカルファッションについての専門的な情報を集めることの出来るイベントに、人々の興味が集まっているのだ。
今後の見本市の方向性について、「製品の製造において労働環境を考える『フェアトレード』を重視して行きたい」とミュラー氏。2013年にはバングラディシュでビルが倒壊し、1,000人を越える労働者が亡くなる大事故が起きた。その背景には、安価な商品製造によって生じる劣悪な労働環境があるという。フェアトレードはこうした構造を改善する可能性を持っているのだ。
今回ベルリンで開催された見本市で感じられたのはエシカルファッションへの強い興味。会場には絶え間無く人々が訪れ、至る所で商品の説明を熱心に聞く姿が見られた。そして、主催者側は人々の興味に応えようと、セミナーイベントなどを意欲的に企画している。こうした需要と供給の様子を見る限り、単なる一過性のトレンドに終わるとは思い難い。今後もエシカルファッションの動向から目を離すことは出来ないだろう。