ディオール(DIOR)の2017-18年秋冬オートクチュール コレクションが7月3日、パリのオテル・デ・ザンヴァリッドで発表された。
クリスチャン・ディオールのファーストコレクション発表から70周年を祝福する今回のコレクションは、クチュリエにとって馴染み深い「グレー」のルックからスタートした。イメージは、世界で最初の女性冒険家たち。マリア・グラツィア・キウリ(Maria Grazia Chiuri)にインスピレーションを与えたのは、1953年にアルベール・デカリによって描かれたメゾンの世界展開を物語る地図の彫刻と、クチュリエの自伝『Christian Dior et moi(クリスチャン ディオールと私)』の中に綴られた「完璧なコレクションは、すべての国のすべての女性像を対象としなければならない」という言葉。
ハウンドトゥースやヘリンボーンなど、メンズワードローブを象徴する素材を採用したドレスやジャケットは、メゾン独自のテクノロジーにより玉虫色の輝きを纏い、華奢なレザーベルトによって“8ライン”を想わせるシルエットに。空気をはらんで揺れるチュールとシルクのドレスは、プリーツやラッフル、エスニックなフリンジ、可憐なオーガンジーフラワーを纏ってフェミニンに輝く。異彩を放ったレザーのコンビネゾンは、1930年代に活躍した女性パイロットのスタイルからヒントを得て、襟元をムートンで飾り、オーガンザのシャツに上に重ねた。
1957年に発表された「サンフランシスコ」ドレスを再解釈した黒のビロードドレスは、ムッシュ ディオールへのオマージュだ。ランウェイではこのドレス以外にも、グラフィカルなネックラインを強調したルックが多く見られた。アウターは、世界地図や花の刺繍が施されたビッグケープやガウン、パッチワークのベルベットコート。お馴染みのタロットモチーフは、エキゾチックなサテンのエンブロイダリーガウンとして登場。アトリエの職人が手作業で仕上げた極めて繊細で緻密な刺繍が、どれほどの時間とプロセスを要したかは想像に難くない。
さらに今シーズンは、いつにも増してアクセサリーが秀逸だった。アラブの砂漠を渡ったことで有名な女性冒険家のフレヤ・スタークをはじめとする女性冒険家に着想を得たスティーブン・ジョーンズ(Stephen Jones)によるマスキュリンなフエルトハットに加え、1976年に制作されたアイウエアを曲線とボリュームはそのままに、コンテンポラリーなスタイルへとリデザインしたサングラス。そして、ダービーシューズ、ベルクロブーツ、クロコダイルサンダルの他、耳元を飾る「ディオール トライバル」によって、ディオール ウーマンの現代的でエレガントな冒険スタイルが見事に表現されていた。