およそ280年の歴史を持つイタリアの老舗陶器ブランド、リチャード ジノリは、2017年ミラノサローネにおいて皆川明氏がデザインを担当した新しいテーブルウエアコレクション“SPERANZA(スぺランツァ)”を発表した。幾度かのコラボレーションを経た後、両者のものづくりへの想いが結集して生まれた今回のコレクション。皆川氏が語った“スペランツァ”への想いと魅力に迫ろう。
イタリア語で“SPERANZA=希望”と名付けられたこのコレクションは、全部で3種のモチーフがある。二羽の鳩がお互いを繋ぐようにオリーブをついばんでいる姿が描かれた“SPERANZA(スぺランツァ)”。小さな新芽の芽吹きを描いた“GERMOGRIO(ジェルモリオ)”、そして、知恵、平和という花言葉を持つオリーブの葉をデザインした“OLIVA(オリーヴァ)”。「食卓に、希望や調和、平和をもたらすようなデザインにしたいという想いから、このモチーフを選びました。デザインというのは、グラフィックの良し悪しもありますが、デザインで社会が明るくなったり、幸福感があるかがとても大事なので、そういったことを器の中に表現して、食卓というコミュニケーションの場が、より平和になればいいなと思いながら作りました」と皆川氏は語った。
皆川氏はイタリア・フィレンツェのジノリの工房へ何度か赴き、膨大なデザインのアーカイブスに触れ、現地のスタッフと膝を突き合わせながらコレクションの制作を行ったという。「食器は、食材や料理との調和が重要なので、繊細な線や色の出方にはとても気を遣い、ジノリの伝統と職人たちの経験値、技術力が十分に生かされるようなレベルのものを作りたいと思いました。特にスペランツァの鳩のぼかしの入ったピンク色や、ジェルモリオの細かな点の間隔、新芽の微妙な色などは、何度も調整した点です」と皆川氏。チャード ジノリにとっても皆川氏とのコラボレーションは、食をのせることでより美しくなる“器”の概念を見直すきっかけとなったようだ。スペランツァは8月23日から、ジェルモリオは9月13日から、オリーヴァは10月11日から全国の主要百貨店で販売が始まる。