キャロル・リム(Carol Lim)とウンベルト・レオン(Humberto Leon)によるケンゾー(KENZO)は、パリ15区のコメルス地区にあるカミーユ・セー高校の中庭を会場にメンズとウィメンズの2018春夏コレクションショーを同時に開催した。
コレクションは、過去と現在における2人のミューズ、山口小夜子と坂本龍一からインスパイアされている。音楽家・活動家として活躍してきた坂本龍一を、進化と革新、そして啓蒙と改良を訴える偉人とし、メンズコレクションのイメージソースとした。80年代の坂本龍一のスタイルから着想を得て、ブリティッシュ・テーラリングや50年代のジャパニーズ・ベースボールの要素、ビッグショルダーとハイウエストのディテールなどを配し、坂本龍一のポートレートをモチーフにしながら、ケンゾーらしいポップで自由自在な表現を見せていた。
ウィメンズは、高田賢三のミューズであったスーパーモデルの祖、山口小夜子にイメージを求めている。プリントにプリントを重ねる高田賢三のコーディネートを見事に着こなしていた当時の山口小夜子にインスパイアされ、クロッシング・ストライプとフローラルなど、様々なプリントモチーフで構成。メンズ同様ストロングショルダーのジャケットやベースボールシャツといったマニッシュなアイテム群と、ラッフルを飾ったドレスやスパンコールを刺繍したミニドレスなど、ガーリーなものとのコントラストが興味深い。
メンズとウィメンズの共通のキーワードとなっていたものが「Hyper」で、これは坂本龍一と山口小夜子の2人が流行に囚われず自身の発想を発信していたことから着想を得たもの。ウィメンズではさらに山口小夜子の神懸かった表現の才能を意味するキーワードとして「Satori」も登場し、それぞれがコレクションを象徴する言葉となっていた。