マルセロ・ブロン カウンティ・オブ・ミラン(MARCELO BURLON COUNTY OF MILAN)の2018年春夏コレクションが、6月17日、ミラノで発表された。シーズンを重ねる毎に、その“現象”が肥大化しているように感じるミラノのリアルなストリートファッションの先導役。今シーズンもショー会場のPiazza Carlo Magnoには、既存のミラノコレクションに集まるファッション関係者とは、明らかに異なる“トライブ“が続々と集結した。
正面ステージに組まれたセットから滝が流れるのを合図に、素肌に真っ赤なマウンテンパーカーを羽織り、赤のサーフパンツのモデルが肩を怒らせて登場。滝だと思ったのは波のフェイス、まさに“ショルダーが張った”ウエーブのスタートである。
ウィメンズはサーフィンのウェット風Tシャツやビッグサイズのフーディー、メンズはアロハ、ベースボールジャケット、スタジアムコート、メッシュのタンクトップ、アノラックパーカーとアイテム自体はオーソドックス。黒と赤を基調に、グラフィックで圧倒するマルセロが戻ってきた。
ほとんどのアイテムにブランドのロゴマークであるパタゴニアクロスのモチーフが入り、ミッキーマウスのシルエットにはアニマルモチーフのパターン、カッパ(Kappa)のロゴがサイドに入ったトラックパンツやデニムのセットアップ、バンズのスニーカーとコラボも分かりやすい。
モノトーンのボタニカルなカモフラ柄や、グラデーションになったサンセットサーフのパームビーチ柄、三角国旗がエスニック風に配置されたMA1、パンツに入ったスネークなど、単品で力強いアイテムは、“モード”、“ラグジュアリー”というジャンルの論議を嘲るかのように、モデルが疾走していく。ショーを盛り上げたシンガーとともにモデルたちが集合するフィナーレは、この会場がそのままパーティー会場へと転換するスタートの合図。
ショーが終わり、次のブランドのショーに向かうバイヤーやプレスとすれ違いで、互いのファッションを確認しながらパーティーに向かう若い一群が、駅から会場に押し寄せてくる。彼らこそがマルセロのブランドとパーティーのリアルな支持者だ。
スタイリスト、DJ、プレスなど多彩な肩書きを持ち、デザイナーという専門職の視点ではないが故に、スピリチュアルな要素をアイコンの存在に置き換えることでシェア意識を高めていくマルセロ・ブロン本人のブランド哲学は、確実にミラノに浸透しつつある。
Text: Tatsuya Noda