京都の二条城と京都芸術センターで開催中の「アジア回廊現代美術展」では、8月19日から10月15日の日程で、日中韓のアーティスト25組、約33点の展示が行われている。歴史的建造物×東アジア現代美術が織り成す、幻想的な展示の見どころをお届けしよう。
「アジア回廊 現代美術展」は、毎年、日本・中国・韓国の各国政府から一都市が選定され、文化の力で東アジアの相互理解を促進し、開催都市のさらなる発展を目指すプロジェクトのメインプログラムで、2017年は京都市で8月から11月にかけて現代美術の展示の他、舞台、音楽、マンガやアニメなど多様な展示やイベントが催される。
二条城の会場で最初に目に飛び込んでくるのは、ソウル在住のアーティスト、チェ・ジョンファの「フルーツの木」。「台所」の前庭に展示されているこの巨大なバルーンは、フルーツや野菜がたわわに実った木で“異次元の憩いの空間を提供する”意図が込められているのだそう。
ほの暗い「台所」に足を踏み入れると、チェ・ジョンファによる2点の作品が出迎えてくれる。普段は非公開となっている「台所」の、高い天井と風通しよく設計された建築に感動しつつ、プラスチック製のボウルを組み合わせてクリスタルのオブジェのように設えた「アルケミー(錬金術)」と、入口の背後に横たわる巨大な大根のバルーン「涅槃」に目を奪われることだろう。「涅槃」は、チェ氏が敬愛する伊藤若冲の「果蔬涅槃図」に描かれている大根をモチーフにしているのだという。
続いて、草間彌生の「無限の網のうちに消滅するミロのヴィーナス」と、一筋の糸にさまざまな海の水から育てられた塩の結晶が結ばれた、宮永愛子の「結〈二条城〉」。隣の展示室には、キム・スージャによる鏡張りの作品「遭遇 ー 鏡の女」が展示されている。
日中韓の3人のアーティストグループ西京人が架空の国「西京」について語る映像作品「第4章:アイラブ西京ー西京国大統領の日常」、台所から望む中庭に展示されているツァイ・グオチャンの「盆栽の舟:東アジア文化都市2017京都のためのプロジェクト」も必見だ。「盆栽の舟」は、東アジア文化都市2016奈良市で、東大寺の境内の池に設置していた木造船を移築したもので、この展覧会のテーマである“東アジアの国々の文化の相互存続”を象徴する作品といえるだろう。
広大な二の丸庭園と本丸庭園を抜けた先にある、お堀の池に展示されている三嶋りつ惠の「光はいつでもそこにある」も印象的な作品だ。水面に浮かぶ約600個のヴェネツィアンガラスがきらきらと輝く様を眺めていると、遥か昔の時代へタイムスリップしたような気分に浸れる。世界遺産「元離宮二条城」の敷地内に忽然と現れた現代美術の展示は、重厚な雰囲気の会場とのコントラストが鮮やかで、忘れ難いアート体験をもたらしてくれることだろう。屋外展示が多く、写真撮影可能な作品も多数あるため、散策しながら“東アジアのアート回廊”を歩く楽しみを満喫してほしい。また、登録有形文化財でもある元小学校をリノベーションしたアート施設「京都芸術センター」にも多数の作品が展示されている。
【イベント情報】
「東アジア文化都市 2017京都 アジア回廊 現代美術展」
■元離宮二条城
会期:8月19日~10月15日
住所:京都市中京区二条通堀川西入二条城町541
時間:8:45~17:00(最終入城16:00)なお二の丸御殿台所・東南隅櫓は9:00~16:45
入場料:現代美術展600円(別途二条城の入場料が必要)
■京都芸術センター
会期:8月19日~10月15日
住所:京都市中京区室町通蛸薬師下る山伏山町546-2
時間:10:00〜20:00
入場料:無料
「アジア回廊 現代美術展」は、毎年、日本・中国・韓国の各国政府から一都市が選定され、文化の力で東アジアの相互理解を促進し、開催都市のさらなる発展を目指すプロジェクトのメインプログラムで、2017年は京都市で8月から11月にかけて現代美術の展示の他、舞台、音楽、マンガやアニメなど多様な展示やイベントが催される。
二条城の会場で最初に目に飛び込んでくるのは、ソウル在住のアーティスト、チェ・ジョンファの「フルーツの木」。「台所」の前庭に展示されているこの巨大なバルーンは、フルーツや野菜がたわわに実った木で“異次元の憩いの空間を提供する”意図が込められているのだそう。
ほの暗い「台所」に足を踏み入れると、チェ・ジョンファによる2点の作品が出迎えてくれる。普段は非公開となっている「台所」の、高い天井と風通しよく設計された建築に感動しつつ、プラスチック製のボウルを組み合わせてクリスタルのオブジェのように設えた「アルケミー(錬金術)」と、入口の背後に横たわる巨大な大根のバルーン「涅槃」に目を奪われることだろう。「涅槃」は、チェ氏が敬愛する伊藤若冲の「果蔬涅槃図」に描かれている大根をモチーフにしているのだという。
続いて、草間彌生の「無限の網のうちに消滅するミロのヴィーナス」と、一筋の糸にさまざまな海の水から育てられた塩の結晶が結ばれた、宮永愛子の「結〈二条城〉」。隣の展示室には、キム・スージャによる鏡張りの作品「遭遇 ー 鏡の女」が展示されている。
日中韓の3人のアーティストグループ西京人が架空の国「西京」について語る映像作品「第4章:アイラブ西京ー西京国大統領の日常」、台所から望む中庭に展示されているツァイ・グオチャンの「盆栽の舟:東アジア文化都市2017京都のためのプロジェクト」も必見だ。「盆栽の舟」は、東アジア文化都市2016奈良市で、東大寺の境内の池に設置していた木造船を移築したもので、この展覧会のテーマである“東アジアの国々の文化の相互存続”を象徴する作品といえるだろう。
広大な二の丸庭園と本丸庭園を抜けた先にある、お堀の池に展示されている三嶋りつ惠の「光はいつでもそこにある」も印象的な作品だ。水面に浮かぶ約600個のヴェネツィアンガラスがきらきらと輝く様を眺めていると、遥か昔の時代へタイムスリップしたような気分に浸れる。世界遺産「元離宮二条城」の敷地内に忽然と現れた現代美術の展示は、重厚な雰囲気の会場とのコントラストが鮮やかで、忘れ難いアート体験をもたらしてくれることだろう。屋外展示が多く、写真撮影可能な作品も多数あるため、散策しながら“東アジアのアート回廊”を歩く楽しみを満喫してほしい。また、登録有形文化財でもある元小学校をリノベーションしたアート施設「京都芸術センター」にも多数の作品が展示されている。
【イベント情報】
「東アジア文化都市 2017京都 アジア回廊 現代美術展」
■元離宮二条城
会期:8月19日~10月15日
住所:京都市中京区二条通堀川西入二条城町541
時間:8:45~17:00(最終入城16:00)なお二の丸御殿台所・東南隅櫓は9:00~16:45
入場料:現代美術展600円(別途二条城の入場料が必要)
■京都芸術センター
会期:8月19日~10月15日
住所:京都市中京区室町通蛸薬師下る山伏山町546-2
時間:10:00〜20:00
入場料:無料