ヘルシンキ芸術デザイン大学、ヘルシンキ工科大学、ヘルシンキ経済大学のいずれも歴史と由緒ある3校が2010年に合併して創立されたアールト大学。世界のトップメゾンに従事する卒業生も数多くいる同校のファッション学科による卒業ショーが、毎年5月にヘルシンキ市内で開催されます。2017年度は元ケーブル工場を利用したミニマルで広大な空間で、約1000人のオーディエンスを迎えて開催。BA(学士号)とMA(博士号)に在籍する28名の生徒が参加し、専攻するウィメンズまたはメンズのコレクションを発表しました。
国内外から業界関係者を集めるこの一大イベントは、学生達にとっては今後のキャリアを左右するチャンスの場。生徒はフィンランド人の他、北欧諸国などからの留学生もいます。アーティスティックかつアバンギャルドな表現がある一方で、シンプルなシルエットに手の込んだデザインのテキスタイルを採用した作品が登場するなど、学生ショーらしいバラエティーに富んだラインナップで会場を楽しませていました。
ショーの終盤にディーゼル賞、マリメッコ賞、ファッションシーンの第一線で活躍するクリエイターやアーティストが審査員を務める特別賞の3つのプライズを発表。
パリでもロンドンでもなく、ヘルシンキを拠点にするファッション学生の卒業ショー。実際に見るまで一体どんな作品が登場するのか予想がつきませんでしたが、大胆で独創的なパワーを湛えたガーメントの数々を目の前にして、フィンランドファッションに対する捉え方が変わったというのが事実。若く才能あるクリエイティブセンスと元来の国民性である実直なワークスタイルにより、今後、ますます多くのフィンランド人デザイナーの活躍を世界で目にすることになるかもしれません。
>>【連載】Fashion in Finland を見る