東郷青児の生誕120年を記念した回顧展、初公開を含む貴重な作品群から「東郷様式」の源流をたどる

2017.09.19
《バイオレット》1952年 損保ジャパン日本興亜(油彩・キャンヴァス、108.4×80.0cm)
洋画家・東郷青児の生誕120年を記念した回顧展「生誕120年 東郷青児展 抒情と美のひみつ」が9月16日から11月12日まで、東京新宿区の「東郷青児記念 損保ジャパン日興亜美術館」で開催される。

東京では20年ぶりの開催となる今回の回顧展では、“未来派風”の前衛的な新人として注目されるきっかけとなった初個展での作品から、戦後に広く親しまれた甘美な女性画まで、初公開のプライベートコレクションを含む貴重な美術作品や資料を全国から集め、「東郷様式」と呼ばれる独特のスタイルがどのように形成されたのかを、年代ごとに分けられた4つの章から探っていく。

第1章の「内的生の燃焼」では、1915年から1928年の作品にフォーカス。東郷が19歳で二科展に初出品・初受賞したデビュー作《パラソルさせる女》(1916年)や、ピカソとも交流があった7年間のフランス滞在時に発表された《サルタンバンク》(1926年)など、鮮やかで大胆な初期作品と、重厚かつ郷愁の漂う滞欧時代の作品を展示する。1928年から1930年代前半の作品に迫る第2章「恋とモダニズム」では、フランスから帰国した後のメランコリックで洗練された油彩画や、装丁本や雑誌の表紙絵を始めとするデザインの仕事の他、川端康成や宇野千代らとの交流を示す資料などを紹介していく。

第3章「泰西名画と美人画」では、東郷の人生が大きく変化したといわれる1930年代後半から1944年の作品が集められている。レオナール・フジタの名でも知られる画家・藤田嗣治と競作した京都の丸物百貨店を飾った対の壁画や、繊細で可憐な少女を描いた小品、戦前の美人画の到達点ともいうべき二科展出品作《紫》(1939年)などが展示される。そして、最終章となる第4章「復興の華」では、1945年から1950年に発表された終戦直後の作品から、京都の朝日会館ビルに描かれた壁画の下絵、珍しいモザイクタイル絵、抒情性と装飾美が融合した「東郷様式」確立後の作例などが紹介される。



【展覧情報】
「生誕120年 東郷青児展 抒情と美のひみつ」
会期:9月16日~11月12日
会場:東郷青児記念 損保ジャパン日本興亜美術館
住所:東京都新宿区西新宿1-26-1 損保ジャパン日本興亜本社ビル42階
時間:10:00~18:00、10月4日は20:00(入館は閉館の30分前まで)
料金:一般 1,200円、大学・高校生 800円、65歳以上 1,000円(中学生以下無料)
※月曜日休館(ただし9月18日、10月9日は開館、翌火曜日も開館)
※10月1日はお客様感謝デー(無料観覧日)


Akiko Hanazawa
  • 《バイオレット》1952年 損保ジャパン日本興亜(油彩・キャンヴァス、108.4×80.0cm)
  • 《バレリーナ》1957年 東郷青児記念 損保ジャパン日本興亜美術館(油彩・キャンヴァス、161.0×128.9cm)
  • 《パラソルさせる女》1916年 一般財団法人 陽山美術館(油彩・キャンヴァス、66.1×81.2cm)
  • 《コントラバスを弾く》1915年 東郷青児記念 損保ジャパン日本興亜美術館(油彩・キャンヴァス、153.0×75.4cm)
  • 《サルタンバンク》1926年 東京国立近代美術館(油彩・キャンヴァス、114.0×72.5cm)
  • 《超現実派の散歩》1929年 東郷青児記念 損保ジャパン日本興亜美術館(油彩・キャンヴァス、64.0×48.2cm)
  • 《手術室》1930年 大分県立美術館(油彩・キャンヴァス、194.0×112.0cm)
  • 《山の幸》1936年 シェラトン都ホテル大阪(油彩・キャンヴァス、173.0×173.8cm)
  • 《紫》1939年 損保ジャパン日本興亜(油彩・キャンヴァス、129.6×79.7cm)
  • 《平和と団結》1952年 朝日新聞社(油彩・キャンヴァス、99.0×79.0cm)
  • 《若い日の思い出》1968年 損保ジャパン日本興亜(油彩・キャンヴァス、145.6×97.2cm)
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