童心に返る純粋無垢な美しさを放つシモーネ・ロシャ【2018春夏ウィメンズ】

2017.09.20

9月16日、シモーネ・ロシャSimone Rocha)が2018年春夏コレクションを発表した。毎シーズン、コレクションのテーマとして3つの言葉を挙げる今季は、純真・遊び心・無邪気。ランウェイに登場したモデルは幼げな顔を揃え、陶器のような肌にフワッと赤らむピンクの頬は、汚れを知らぬ少女のように見えた。今季のインスピレーションは、「幼少期に持っていたヴィクトリア調のドレスを着た陶中国人形」だという。「遊んでいたら、顔にヒビが入ってしまったことがあったの。捨てずに持っていたそれが、1歳8ヶ月になる娘の遊び道具として再び出てきたんです」と説明を加えた。

序盤は純白のルックが続く。シルク、チュール、レースの素材はバルーンに膨らんだり、フリルやパフで揺れ動いたり、見紛うことなく無垢だった。中盤からルックは黒へと染まっていった。刺繍やビーズでフラワーの柄が描かれ、ロマンチックなムードへと加速。終盤は明るさを取り戻し、純白へと回帰した。シェルムーズ生地で重厚感を漂わせたり、バイアスカットで動きと柔らかさを与えるなど、シルエットのバリエーションも幅広い。バッグやシューズも豊作で、終始目移りしっぱなしのショーとなった。

目の前を通り過ぎる洋服が無条件に美しく、ワクワク、ドキドキ童心に返っている自分がいた。きっとこの瞬間は、なぜ美しいのかを論理的に考える必要はないと感じ、純粋に惹きつけられるがままにその時間を楽しんだ。ショーを見終えた後に明確だったのは、シモーネ・ロシャは人の心の琴線に触れるような、美しいコレクションを作りあげる類い稀なるデザイナーだということだ。
ELIE INOUE
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