6月19日21時(日本時間)、プラダ2023年春夏メンズコレ クションがミラノにてランウェイ形式で発表されました。キュレートされたプロセスが表現された今回のコレクションでは、 さまざまな要素や衣服の組み合わせ、印象の形成、 スタイルの創造を通じて呼び起こされるファッションの文脈に焦点を当てます。
ミウッチャ・プラダとラフ・シモンズによる 2023 年春夏メンズコレクションは、キュレートされたプロセスを表現しています。ここでのファッションとは文脈から連想されるものであり、さまざまな要素や衣服の組み合わせ、印象の形成、スタイルの創造を通じて呼び起こされるものとなっています。ファッションとはマナーであり、姿を見せるための方法であり、手段でもあります。それは選択の表現なのです。
デザインおよびファッションの実践とは意思決定の一種であり、クリエイションと同時にキュレーションが行われます。今回のコレクションのツールは、スーツ、コート、セーター、シャツ、デニム、レザーと、直接的でわかりやすく、典型的なアイテムがそろいます。見慣れた衣服は文脈によって生まれ変わります。一見シンプルな結果の背景には常に複雑な思考があり、そこには装いの根幹を明らかにするためにより純粋なものへと洗練させるプロセスが存在しています。また、衣服自体はクラシカルなものであっても、いつもとは異なる組み合わせにする事で違ったインパクトを与える事ができます。インスピレーションは柔軟であり、弾力的です。レザーのショートパンツやチェック柄は、子どもの頃の記憶、家庭、あるいは洗練されたイメージを同時にもたらすことができます。これらの標点が出会うとき、そこに摩擦が生じ、異なるアイデンティティが形成されるのです。
シルエットは体のラインに寄り添い、プロポーションはすっきりとしています。若々しさを連想させ、そこからエネルギーやバイタリティを感じさせます。体を自由に動かせる服には、新鮮さと軽さがあります。そこにはフォルムとダイナミズムへの意識、本質に備わる自由と喜びがあります。そぎ落としていくことが、より簡素で合理的なデザインへとつながっています。不要なディテールは取り除かれ、シャツやコートの襟は外されています。パンツはよりタイトになり、足首までのクロップド丈や、ごく短いショートパンツが提案されています。次々に登場するブラックのテーラードスーツは、このより純粋なものへと洗練させるというシステムの論理的結論です。あえてそぎ落とすことで、肉体的、精神的な安堵感、つまり新鮮さや軽さを生み出しています。
ショー会場の内装は、親密さをコンセプトにしています。模型の家を大きく拡大したイメージで、すべてが切ったままの紙で表現されています。人間と現実、つまりありふれた日常を素材とイメージに映し出し、その両方から何か特別なものを作り上げる―それは衣服の背景として、またそれ自体が主役として機能し、私たちの知覚に挑戦するもうひとつの文脈となるのです。