アーティスティック ディレクター マリア・グラツィア・キウリ(Maria Grazia Chiuri)によるディオール(Dior)は、9月26日、パリのロダン美術館で2018年春夏ウィメンズコレクションショーを開催した。ニキ・ド・サンファル(Niki de Saint Phalle)がマルク・ボアン(Marc Bohan)と出会った60年代、そんな逸話を背景にしたコレクション。
「なぜ偉大な女性アーティストが存在しなかったのか」と書かれたスローガンTシャツが登場したが、これは1971年のアート・ニュースに掲載された美術史家のリンダ・ノックリン(Linda Nochlin)によるエッセイのタイトルで、キウリがインスパイアされた言葉。ニキ・ド・サンファルはフェミニズムの系譜でも語られることが多く、今シーズンのイメージソースともなっている。
実はディオールとのつながりも深く、ニキ・ド・サンファルがモデル時代に、1965年当時のデザイナー、マルク・ボアンと出会っているという事実があり、60年代のマルク・ボアンのデザインをアップデートさせたピースも登場。
前半はスポーティーなリアルクローズをディオールのコードで解釈したルックで構成。ナイトウエアでは、インナーにボディを合わせ、チュールのスカートをコーディネートしたマリア・グラツィア・キウリらしいルックも健在。60年代を意識したマリンボーダーのトップにニキ・ド・サンファルの意匠を刺繍したスカートという組み合わせに代表されるように、コレクションは全体的にポップでオプティミスティックな雰囲気に溢れていた。