9月30日、ビューティフルピープル(beautiful people)がパリで、2018年春夏コレクションを発表した。先シーズンに引き続き、パリ・ファッション・ウィークの公式スケジュールにてプレゼンテーション形式でお披露目。テーマは“MAKE LOVE”。相反するものの組み合わせで固定概念を取り払った斬新なコレクションを展開してきた熊切氏は今季、男女が惹かれ合い一つになる瞬間のラブストトーリーを描いた。
プレゼンテーションでは、会場中央にモデルとフィッターが登場し、着付け方を見せながらルックが変化していく。真ん中でカットアウトされた洋服たちが、ファスターやボタンの着脱によって一つの洋服として生まれ変わる。観客は、どんな洋服に仕上がるのか、どのように交わり合うのか、想定が難しい複雑な工程なだけに、興奮気味に目を向けていた。一つひとつはベーシックなアイテムばかり。トレンチコート、ノースリーブのロングドレス、ボリュームスカート、テーラードジャケットなど。全体的にグレーや黒といった落ち着いたカラートーン。紡ぎ出されるラブストーリーは、燃え上がる恋愛ではなく、互いを補完するかのように愛し合う恋人同士の物語といったイメージだ。
パリでのコレクション発表を初めて行った先シーズンは、日本を全面に押し出した内容だったが、今季は和の要素はほとんど感じられない。ガラッと方向転換した実験的なプレゼンテーションは、熊切のデザイナーとしての柔軟性と創造性の高さが発揮されたのではないだろうか。早くも半年後の次のコレクションが楽しみである。