坂部三樹郎とシュエ ジェンファンによるミキオサカベ(MIKIOSAKABE)が、「Amazon Fashion Week TOKYO 2018 S/S」期間中の10月21日、渋谷ヒカリエで2018年春夏コレクションを発表した。東京コレクションの最終プログラムであったこともあり、会場にはプレス関係者から服飾関係の学生まで多くの人が集まり超満員に。開演予定時刻を30分以上過ぎ、観衆の期待が最高潮に達したところでショーが始まった。
月の光のようにぼんやりと灯る巨大な球体がステージを照らす中、爆音とともに20cm近くヒールのある花魁の高下駄のようなシューズを履いた外国人モデルが登場。金髪を文金高島田風に結ったヘアスタイルに、OLの制服のような真っ赤なジャケットワンピ―スをまとい、肩には大きなスクールバックをかけている。さらに、プリーツスカートや制服のベストをベースにしたものなど、日本の“会社”や“学校”を彷彿とさせるルックが続く。
「今までやってきたことの延長ではなく、全く違ったことがやりたかった。今回のテーマは“和”のミックス。最初は着物を作ろうかとも思ったけれど、それは難しくて無理で。OLっぽいものや学生スタイルのニュアンス、“かわいいカルチャー”のエッセンスなど、それぞれの和の部分を採り入れてミックスしたら調和が取れた」と、坂部はコレクションのテーマについて語った。ヨーロッパにはない日本独特のシェイプをベースに使い、彫物や壁紙をイメージしたプリントや和のヘアスタイルを組み合わせることで、時代を超えて“日本的な匂い”を感じさせるようなルックを突き詰めたという。
ヨーロッパの邸宅の壁紙を思わせる小花のプリント生地を幾重にも重ねて作ったドレス、プレーンな作業着風のシャツ×パンツスタイルの足元にブリブリのピンクのレースアップシューズを合わせたルック、パンツの裾にブラウスのカフス部分を付けたルックなど、どこかに“崩し”を効かせることで、過去に見たことのあるスタイルが、新しい未来的なスタイルに“化ける”ような感覚だろうか。
ラストに登場したハート形と星形のオブジェを身体に絡みつけたルックは、今の日本の“かわいいカルチャー”を表現したものだという。最後にこの印象的な2つのルックをもってショーはフィナーレを迎えた。Amazon Fashion Week TOKYOのラストを飾るにふさわしい、突き抜けた世界観と、新しいことに挑戦し続けるミキオサカベの貪欲な姿勢を示したショーとなった。