「満たすことが叶わない欲望」をコンセプトに展開されているアート作品シリーズ、「パティスリー(PÂTISSERIE)」。本物のスイーツにしか見えないこれらの作品は、すべてガラスと陶器から作られている。制作者はアメリカのガラス・アーティストであるシャイナ・リーブ(Shayna Leib)。彼女は自身の好きだというイギリスの料理番組で放映された「アントルメ」(食後に出すプディングなどのデザート)を作る回を見て、そのスイーツたちに一目惚れした。しかし彼女はヒスタミン、サルチル酸塩、銅といった物質にアレルギーを持つためスイーツを食べることが出来ない。そこでシャイナはそのスイーツたちを、物質としての美しさという視点から捉えることにした。そのアイデアをスタジオで幾度も繰り返し形にしていったそうだ。
制作のプロセスはかなり手の込んだものとなっている。素材はガラスと陶器を主に用いるのだが、それらは同時に火にかけ組み合わせたりは出来ないという。またガラスだけでも10種ほどの種類を使い分けるのだが、それぞれ特性が異なるため同時に処理を行うことは難しい。つまり一つの作品を作り上げるために必要なパーツが全て異なる素材のため、それぞれ個別の作業が必要になる。また仕上げたパーツたちを組み合わせるためにも、数時間のヤスリ掛けをしなければならないという。ガラス細工と陶芸に必須な何種もの技法を駆使し、ようやく完成する一品はたった先ほどパティシエが腕をふるって作り上げたスイーツと見間違えるほどにリアルで、美しい。
壁一面に作品が並ぶ景色を見ると、シャイナがこのコンセプチュアルなプロジェクトを完璧に形に出来た自信が伺え、とても満たされた気持ちになる。彼女のウェブサイトでは、数多くの「パティスリー」シリーズの作品を見ることが出来るので是非チェックしてみてほしい。
※本記事は (引用元: http://shaynaleib.com/)に許可を得て、翻訳・執筆を行っております。