ヨシオクボ(yoshiokubo)がミラノファッションウィーク最終日の1月15日、2018-19年秋冬コレクションを発表した。前シーズンの17-18秋冬コレクションをジョルジオ・アルマーニの支援プログラムを受け初めてミラノで、昨年6月には18春夏コレクションをJFWO(一般社団法人日本ファッション・ウィーク推進機構)とピッティ・ウオモの共同プロジェクトとしてフィレンツェでランウェイを行い、今回がイタリアで3シーズン目のランウェイとなる。
NYでオートクチュールデザイナーの元、服飾技術を磨いたデザイナーの久保には、そのコレクションに職人としての意地が見え隠れする。今回もオープニングではフード付きのオーガンジーのコートをスーツの上にまとわせ、サルトリアーレに自らの服に対するアティチュードを示した。生地をバイアスに取り、テーラードのコートに仕上げ、裾をカットアウトし糸をほつれさせるというオーガンジー素材では難度の高いテクニック。
アクションペイントのドットを織り込んだようなスーツ素材や、チベットの曼荼羅を思わせるプリント、ペイズリーなどアジアンエスニックなパターンをミックスし、パーカやスエット、ボトムスに展開される。
今シーズンのテーマはエベレストに不時着した飛行機の乗客が極限の状態で身にまとう服というストーリー。軽量ナイロンにプリントされたパラシュートやエベレストをプリントした明快なアイテムに、座席のシートを剥がし飛び出した資材を思わせるカラフルなモップヤーンをトラックスーツやクラシックなコートの上部だけぶった切ってプラスするなど、その乗客のグローバルな背景と素材を出合わせた、斬新なアイデアと独特のミックスセンスはブランドの持ち味だ。
ナイロンと絹の帯地など異なる光沢素材を組み合わせたフライトジャケット、オラオラ系をイメージさせるフォントで“久保嘉男”と漢字で胸に記されたフーディー、作務衣ジャケットなど、ストリートなアイテムがテーマのストーリーに沿って落とし込まれている。これまでのシーズンに比べ、ヒップホップのギャングイメージが抑えられたせいで、丁寧に作り込まれた各アイテムの上質さが伝わったコレクションとなった。
Text: Tatsuya Noda